「気の利いた高級な料理屋はなくなった」

そして、ヤクザという岩が崩れた代わりに中から湧き出してきたのがトー横や立ちんぼ、半グレだとも著者は言う。賛否両論はあるにしても、ヤクザの存在を敢えて表現すれば必要悪、「そこにあるもの」なのだと。

ヤクザが存在感を失ったことで、犯罪がますます複雑化して取り締まりにくくなっている一面もあるのだろう。トクリュウ犯罪が顕在化する近年の状況を鑑みても、それは明らかである。

以下に紹介するのは、戦後から令和まで歌舞伎町の裏社会を見続けてきた右翼団体・大日本朱光会名誉顧問で元住吉会住吉一家日野六代目の阿形充規氏の話だ。ヤクザに近い人物であることを差し引いて受け止める必要があるが、興味深い証言だと言える。

業界の人たち(ヤクザの意)は何かあれば飛んできてカタをつけてくれました。今はそういうことがなくなったから、商店街の人たちも、以前のほうが良かったってことになります。だからクラブだけじゃなくて、気の利いた高級な小料理屋なんて歌舞伎町にはなくなってしまいました。(90ページより)

ところで近年は、歌舞伎町といえば「ぼったくり」のイメージも強いのではないだろうか。ぼったくり自体は昔からあったが、声をかけてきたキャッチについていったら高額を請求されたなどという話をよく聞くし、わざとぼったくりバーに潜入した動画を上げるYouTuberも流行っている。

「払えない」とごねると画面が止まって音声だけになり、店の奥から「コワモテ」が登場して脅すというような流れだ。しかし、指定暴力団二次団体幹部のH氏とI氏は、それを明確に否定する。

YouTubeで拡散される歪曲したイメージ
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