Ahmad Ghaddar Arathy Somasekhar
[ロンドン/ヒューストン 20日 ロイター] - イエメンの親イラン武装組織フーシ派がバベルマンデブ海峡の封鎖に成功すれば、世界で最も重要な原油輸送路の一つが打撃を受け、原油価格の新たな急騰や燃料供給の混乱を招き、世界経済への負担が一段と増す恐れがある。
フーシ派は20日、サウジアラビアに対する海上封鎖を宣言した。紅海の出口に当たるバベルマンデブ海峡が封鎖されれば、サウジにとってホルムズ海峡に代わる重要な代替ルートが失われ、供給不足への懸念が一段と強まることになる。
コンサルティング会社エナジー・アスペクツのリチャード・ブロンズ氏は「米国とイランの緊張激化とそれに伴うホルムズ海峡の通航減少を受けて先週に原油価格が上昇した後、トレーダーは一段の上昇を正当化する材料を注視している」と指摘。「フーシ派が海上攻撃を再開し、バベルマンデブ海峡を事実上封鎖すれば、間違いなくその材料になる」と述べた。
<アジア製油業者は原油調達に遅れも>
バベルマンデブ海峡は紅海とアデン湾をつなぎ、中東と欧州、アジアの間を行き来する原油・燃料輸送の重要ルートとなっている。2023年にフーシ派による船舶攻撃が始まって以降、多くの船舶はすでにアフリカ迂回ルートに変更しており、世界貿易にコスト増と遅延をもたらしている。
全面的な封鎖となれば、サウジが紅海のヤンブー港から輸出する原油に最も大きな直接的な影響が及ぶ。海運調査会社ケプラーのコモディティ調査ディレクター、マット・スミス氏によると、これらの原油を受け取るアジアの製油業者は、タンカーが喜望峰回りを強いられるため、約1カ月の遅延に直面する恐れがある。
同氏は「最初の1カ月の影響は甚大になるだろう。最大の影響を受けるのはサウジからの供給だ」と述べた。
ブロンズ氏は、現在紅海経由でアジアに輸送されている日量300万バレル超のサウジ産原油が、はるかに長いルートを迂回せざるを得なくなる可能性があると試算した。満載の超大型原油タンカー(VLCC)はスエズ運河を通航できず、紅海と地中海を結ぶエジプトのSUMEDパイプラインの輸送能力にも限界があるため、ボトルネックが生じる見通しだ。
ケプラーのデータによると、サウジは4月以降、ヤンブー港から日量平均450万バレル超の原油と燃料を輸出しており、そのうち約70%がアジア向けだった。
コンサルティング会社ストラタス・アドバイザーズのジョン・ペイジー社長は、影響は石油市場をはるかに超えて広がると指摘。「紅海経由の原油の流れが本当に止まったり、深刻に阻害されたりすれば、原油価格だけでなく石油製品価格にも影響が及ぶ」とし、「世界経済全体を揺るがし、ある時点で世界的な景気後退に陥る可能性もある」と述べた。
アナリストらは原油市場の当面の反応として、製油業者が入手可能な供給を奪い合う中で、原油価格が再び急騰する展開になる公算が大きいとみている。ペイジー氏は、原油価格が再び1バレル=115─120ドルを上回る水準まで上昇する可能性があると述べ、船舶がアフリカ回りの長いルートを取るため、運賃と保険料も上昇するとの見方を示した。