メイクブランド「KATE」は2026年7月8日から、歌舞伎とコラボレートしたグローバルプロモーション『KABUKE 型破りであれ。』を開始した。日本を含むアジア各国で展開され、影に美しさを見出す日本独自の美意識から生まれた「陰影メイク」の魅力を広く発信するという。

KATEは1997年のブランド誕生以来、「NO MORE RULES.」をスローガンに掲げ、既成概念にとらわれないメイクを提案してきた。その象徴ともいえるのが陰影メイクで、光と影を操って内面にある意志や自信まで引き出そうとする手法は、“自分らしさ”を大切にする多くのユーザーの支持を集めている。

そうしたブランドの強みを世界へ広げるため、KATEでは2025年からグローバルプロモーションを本格化。アニメや音楽といったジャパンカルチャーとの連動を通じてブランド認知を高め、アジア市場での存在感を強めてきた。

KATEグループのブランドマネジャーを務める岩田有弘氏は本誌の取材に対し、「特に台湾、香港、タイの3カ国を重点エリアとして位置づけています」と話す。「これらの地域は日本に近い文化的背景を持ち、ファッションにおいても先進的な市場として認識されています。最も重視しているのは、ブランドのコア部分は変えずに、各地域の文化や価値観に合わせて伝え方を丁寧に設計することです」

KATEのグローバルプロモーション『KABUKE 型破りであれ。』
KATEブランドマネジャーの岩田有弘氏

その一環として、今回コラボレーションテーマに選ばれたのが、日本が誇る伝統芸能・歌舞伎である。CMには歌舞伎俳優の尾上右近さんを起用し、歌舞伎の隈取に用いられる“青”から着想を得た、新たな陰影メイクを提案した。

「青をひとさじ、影に忍ばせる」のコンセプトどおり、青みニュアンスの影色を使うのが特徴で、それによって黄ぐすみが消え、表情に透明感と奥行きが生まれるという。プロモーション初日にはメディア発表会も開催され、尾上さんが壁を突き破って登場する“型破り”な演出とともに、新商品やCMの紹介、トークセッションなどが行われた。

KATEのグローバルプロモーション『KABUKE 型破りであれ。』
7月8日のメディア発表会では歌舞伎役者の尾上右近さんが壁を突き破って登場

KATEと歌舞伎の組み合わせは一見すると意外に思えるが、実は両者には共通する部分が多い。歌舞伎の語源となった「かぶく」は、既成概念に縛られず新しい表現を生み出すことを意味するが、これはKATEの「NO MORE RULES.」の理念と合致する。

また、歌舞伎が光と影を巧みに用いて人物の感情や役柄を表現するように、KATEも陰影メイクによって個性や意志を引き出してきた。岩田氏は、「歌舞伎の隈取を通じて、光と影、個性や感情を大胆に表現する力、内面や意志を映し出すメイクの可能性を発信することを目指しています」と語る。それらを踏まえるなら、『KABUKE 型破りであれ。』は、同じ思想を持ち合わせている者同士の融合といっていいだろう。

KATEのグローバルプロモーション『KABUKE 型破りであれ。』
商品開発担当の林香里氏

日本文化を海外へ発信する企業は少なくないが、KATEが目指しているのは伝統文化をモチーフとして借用することではなく、自らのブランド哲学と結び付け、新たな価値として再解釈することにある。

今後もこうしたプロモーションを通してブランドのコアファンを維持すると同時に、従来のメイクの概念を打ち破り、メイクの表現の可能性をより広く伝えていきたいという。例えば、昨今は女性だけでなく男性のメイク利用者も増加してきており、こういった性別を問わず自分らしい表現を楽しめるメイクの提案により、日本でもジェンダーレスメイクの普及がさらに加速するかもしれない。

KATEのアジア市場でのビジネス規模は「ここ3~4年は2桁成長を続けている」というが、岩田氏は「日本的な美について、技術面では世界から一定の評価を得ているものの、メイクが持つ表現力についてはまだ十分に知られていない」と語る。単なる宣伝の枠を超えた日本企業による新たな「世界への挑戦」として、KATEのグローバル戦略の今後に期待したい。

KATEのグローバルプロモーション『KABUKE 型破りであれ。』
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