Howard Schneider

[ワシントン 10日 ロイター] - 政治的な二極化が進み、トランプ米政権がグローバル化から距離を置く中で、米連邦準備理事会(FRB)のウォーシュ新議長がFRB改革のための作業部会メンバーに外国中央銀行の出身者やオバマ政権時代に高官に任命された人材を登用したことは、専門家の重用という点で高い評価を得ている。

トランプ氏は大半の独立した米政府機関について、メンバーを更迭する権限を与えられているが、最近の米最高裁判所の判決によってFRBは例外とされた。その結果ウォーシュ氏は、トランプ氏やその支持層の怒りを買えば更迭されかねない、との圧力から解放されることになった。

ウォーシュ氏はこのほど、作業部会にFRB外部から15人を選出したと発表。うち5人は外国生まれで、ブラジル、英国、インドの中央銀行の元総裁が含まれており、2人はオバマ前大統領によって高官に任命された経歴を持つ人物だ。

メンバーにはトランプ氏の大口資金調達者でありテック投資家のマーク・アンドリーセン氏も含まれたが、全体としては一流かつ独立した顔ぶれとみなされている。これはウォーシュ氏自身の意向を反映している可能性が高く、重要なのは、就任前に約束していた「体制変革」とは対照的に、革命的というより進化的な内容になっている点だ。

ルネサンス・マクロ・リサーチの経済問題責任者、ニール・ダッタ氏は「同僚らからの議長への信頼向上につながるような、真面目で尊敬されている人々だ」と語った。

メンバーの中には、FRBの巨大なバランスシートやフォワードガイダンスに懐疑的なウォーシュ氏の考え方に「思想的に傾倒している」ように見受けられる人々もいる。

しかし全員が足並みを揃えているわけではない。バランスシートに関する作業部会メンバーに指名されたジェレミー・スタイン元FRB理事(2012年にオバマ元大統領が任命)は、FRBによる大量の資産保有が金融安定の向上に資すると主張してきた。

また、一部のメンバーは政策論争よりも、FRBが金融政策判断に際して依拠するデータの改善方法などのテーマに焦点を当てている。ウォーシュ氏は新技術を活用すれば成果を高められる可能性があると考えており、この立場についてFRB内に異論はほとんど存在しない。

ロイターの取材に応じた作業部会メンバーらは、どのように議論を進めるかについてコメントするのは時期尚早だと述べた。

<真面目でバランスの取れた集団>

FRBが過去に実施した主要な戦略転換は、内部の委員会が管轄してきた。2012年のコミュニケーション政策の変更や正式なインフレ目標の導入などだ。19、20年に実施した政策枠組みに関するより広範な見直しに際しては、全米で公聴会を実施したほか、学術研究を委託した。25年の見直しは内部の研究や、バーナンキ元FRB議長などによる外部の学術分析に大きく依存していた。

今回のウォーシュ氏による見直しは、また別種の手法のようだ。同氏が13年にイングランド銀行(BOE、英中央銀行)からコミュニケーションおよび情報開示政策の見直しを委託され、その10年後にバーナンキ氏もBOEから諮問を受けたのに似て、今回の見直しは組織外部に目を向けている。FRBは作業部会のプロセスについて「エビデンスに基づき、独立して作業に当たる権限を持つ」と説明している。

7人のFRB理事と12地区連銀の総裁が、この作業にどのように関わるかはまだ分かっていない。作業部会は年末までに結論を出すことを目標としている。

政策立案者の間では、バランスシートや情報発信の問題について、すでに強い意見が存在している。家計に直接影響する金利決定に当たる当局者らにとって、センシティブな問題だ。

例えば、昨年提案された情報発信実務の変更案は、内部で意見が対立し頓挫(とんざ)した。

元ニューヨーク連銀職員で、現在はエバーコアISIの副会長を務めるクリシュナ・グハ氏は作業部会の顔ぶれについて「真面目で広くバランスの取れた集団であり、市場、FRBスタッフ、連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーから真剣に受け止められるだろう」と評した。

グハ氏は「我々はこれを、制度および政策改革における優れた第一歩であり、ウォーシュ議長にとっての勝利だと見ている」と述べた上で、影響力の大きい改革に対してはFRB幹部らが発言権を持つことになるだろうとも指摘した。FRBでは通常、ほぼ全会一致でなければ重要な改革は実現しない。

グハ氏は「見事なグループが独立した作業部会を運営するとは言え、バランスシートや政策コミュニケーションなどの分野で深い専門知識を持つ人物もいる現在のFOMCが、外部専門家の言いなりになって提案を何でも採用することはないだろう」と記した。

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