Parisa Hafezi Angus McDowall

[ドバイ 10日 ロイター] - 2月末に米国とイスラエルの攻撃によって父アリ・ハメネイ師が殺害された直後に新たな最高指導者に指名されて以来、モジタバ・ハメネイ師の消息はイラン国民や世界にとって謎のままだ。

モジタバ師は、ハメネイ師の国葬に声明などを出すこともなく完全に欠席した。イスラム共和国建国47年の歴史の中でも屈指の激動期にあるイランについてがモジタバ師がどのような計画を抱いているのか、人々に推測を許すのみとなっている。

イスラム革命防衛隊の後押しを受けて就任したモジタバ師は、米・イスラエルによる攻撃で顔面に傷を負うなどの怪我をしたと伝えられる。複数の政府高官筋の話では、モジタバ師は意思決定を行っているものの、まだ公の場に姿を現せるほどには回復していないという。

ただ足元で米国との衝突が再燃したことで、モジタバ師の役割と健康状態は、極めて重要かつ懸念される問題となった。

中部イスファハンのある商店主は「安全保障上の観点から、モジタバ師が公の場に出るべきではないことは理解している。しかし国は非常に困難な時期にある。最高指導者の姿が見えることが必要で、たとえ負傷していても、国民はリーダーが存在し、国を運営していることを見るべきだ」と訴えた。

<家族・血縁関係の重要性>

9日に行われたハメネイ師の埋葬の進行においては、イランで最も神聖な聖廟で、モジタバ師以外の3人の息子たちが棺の前で祈りを捧げた。これは、イスラム共和国の指導層にとって家族・血縁関係がいかに中心的に位置付けされているかを浮き彫りにした。

モジタバ師の3人の兄弟は、全員が高位の聖職者となっているものの、イランにおいて重要な政治的プレーヤーとはみなされておらず、今後そうなる公算は乏しい。

もっとも10日の追悼式でモジタバ師の代理演説役となったのは、1979年のイラン革命の指導者ホメイニ師の孫であるアリ・ホメイニ師で、ここでも聖職者による支配体制における「継続性」を強調するために、家族の絆が利用されている様子がうかがえる。

ハメネイ師が聖廟へ最終的に埋葬される際、モジタバ師がついに姿を現すのではないかという憶測もあった。また直接本人ではないにせよ、録音されたメッセージや、新しい写真が公開されるのではないかと期待されていた。

それでもイランの政府高官筋は、3月8日に聖職者会議によって最高指導者に指名されて以来、モジタバ師の新しい画像や音声記録が一切公開されていない理由を、健康と安全保障上の配慮によるものだとしている。確かに戦争開始直後に父が暗殺されたことを考えれば、安全保障上のリスクは極めて高い。

一方イランで究極の権威を持つ政治的、戦略的、宗教的、そして革命的な象徴という立場にある以上、モジタバ師は回復途上とされる実際の健康状態以上に、精力的で健康そうな姿を示さなければならないのかもしれない。

モジタバ師の健康状態に関する公式発表は、5月にペゼシュキアン大統領が「指導者に面会し、状態は改善している」と述べたのが最も新しい。

当分の間は、革命防衛隊が国を厳格に支配しているように見えるとしても、イスラム神権国家の指導者がいつまで姿を隠し続けることができるのかは不透明だ。

スコットランドのセント・アンドリュース大学のアリ・アンサリ教授(現代史)は「後継者がそこにいないのに、どうやってカリスマ的な継承を成立させるのだろうか。たとえ当面は乗り切れたとしても、彼らにとって問題になるだろう。長期的に持続可能ではない」と指摘する。

<革命防衛隊との密接な関係>

モジタバ師の不在はイラン国民を苛立たせ始めており、ロイターがここ数週間に取材した20人余りの国民が、イラン政治に関する会話の中で懸念を口にしている。

首都テヘランの教師(51)は「最高指導者の不在は、特に前指導者の埋葬後は国内に不確実性と無秩序をもたらす」と語った。

最高指導者の役割は他のほとんどの国家元首とは異なり、イランの公式なイデオロギーでは、その職にある者は9世紀に姿を消したイスラム教シーア派の第12代イマームの地上における代理人とみなされる。

モジタバ師がこの役割をどう担うのかはまだ分からない。初代指導者のホメイニ師は、革命のカリスマ的な父であり、イランで最も尊敬される宗教学者で、その不可侵の地位と鋭い形相は絶対的な服従を呼び起こした。

ホメイニ師の後継者となったハメネイ師は、指導者に任命された当時は大統領だったが、特に高位の宗教的人物とはみなされず、当初はホメイニ師ほどの権威を欠いていた。

しかし37年間にわたる指導者としての任期を通じてライバルを出し抜き、革命防衛隊の支援を受けて、国の政治生活のほぼ全ての側面に絶対的な命令権を確立した。

モジタバ師もまた宗教的な経歴に欠けているほか、父とは違って自身が強力な政治的人物だったわけではない。その代わりに父の広大な事務所と、国中に広がる人脈のネットワークを管理し、革命防衛隊と密接な関係を築いてきた。

モジタバ師の見解や権威性、能力は依然として未知数だが、いずれにしても新たな統治体制において革命防衛隊が中心的な役割を果たし続ける公算が大きい。

断続的な停戦状態にありながら依然として紛争のさなかにあり、経済は制裁によって首を絞められ、国内では1月に起きたような大規模な騒乱が再発する可能性を抱える中で、イランはリーダーが依然として実体不明の存在となっている。

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