暑くて食欲が湧かない――。夏になると、そう感じる人は少なくないだろう。オーブン料理などもってのほかだが、とにかく「ちゃんとした食事」をする気がしない。
一体なぜか。それは、身体が機能を維持しつつも、過熱を防ぐために懸命に働いていることと関係している。
代謝などの生理機能が正常に働くためには、体内温度(深部体温)が平均37度に保たれる必要がある。そして体温は、視床下部によって厳密に制御されている。
深部体温が高すぎても低すぎても、酵素の働きなどの生化学反応が鈍くなり、身体は正常に機能しなくなる。だから深部体温を一定に保つことが極めて重要になる。
深部体温に影響を与える要因は、感染症や運動、ホルモン、アルコールなど多岐にわたるが、気温もその1つだ。
気温が高い日は、深部体温が上昇しないように、身体に備わっている冷却メカニズムがフル稼働する。例えば、汗をかくことで熱を放散して体温を下げようとする。
血流が果たす役割も重要
血液が果たす役割も重要だ。
身体が深部を冷やそうとすると、温かい血液が皮膚付近に集まり、熱が体外に放散されやすくなる。その結果、腸などの消化器官への血流が減少する。
通常なら、食後は消化器官に血液が集まって、食べ物の消化や栄養素の吸収、運搬を助ける。ところが、気温が上昇して、身体を冷却するために血液が体表に送られると、消化器官の働きが鈍くなる。
優先すべき食品とは?そもそも、消化活動自体が熱を生み出す。栄養素の吸収や運搬、貯蔵にはエネルギーが必要であり、その過程で熱が生まれるのだ。
だから身体は、こうした消化器官の働きを抑えて、熱が発生するのを防ごうとする。暑い日に食欲が大きく落ちるのは、このためでもある。
また、体熱を外に逃がすために発汗量が増えると、血液中のミネラル濃度が上昇して脱水症状になる。だからといって水をがぶ飲みすると、おなかが張って、やはり食欲低下につながりかねない。
では、どうすればいいのか。カギは果物や野菜サラダ、それに牛乳やヨーグルトなど水分を豊富に含む、冷たくて消化しやすい食品を優先的に摂取することだ。これに対して、タンパク質や炭水化物を多く含む食品は、消化時に多くの代謝熱を発生させる。
また、暑さによるストレスは消化のスピードを遅くすることが多い。これも満腹感を長続きさせて、食欲の低下を引き起こす原因の1つだ。
暑さと空腹のバランスは常に変化する。猛暑のときは、身体は空腹を満たすよりも、体温を下げることを優先する。
だが、どんなに暑くても栄養補給は必要不可欠だ。その点、深部体温を冷ますと食欲の回復につながりやすい。具体的には、水分を補給する、
風通しのよい服を着る、冷却パックなどで体を冷やすといった工夫が可能だろう。
食事は栄養価の高い食材を取り入れ、少量ずつを小まめに取ること。消化にエネルギーを要するとはいえ、タンパク質も欠かせない。ナッツ類や豆類、アボカド、オリーブなどは栄養価が高く、エネルギー源としても優れている。
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Dan Baumgardt,Senior Lecturer, School of Psychology and Neuroscience, University of Bristol
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
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