Andrea Shalal

[ワシントン 8日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は8日に公表した最新の世界経済見通し(WEO)で、2026年の世界成長率予測を3.1%から3.0%へ再び引き下げた。中東での戦争、貿易の分断、人工知能(AI)に対する市場の期待が修正される可能性が引き続きリスクになると警告した。

世界経済は戦争による急激な悪化を回避したとし、テクノロジー部門における需要主導の勢いが戦争に伴うエネルギー供給の落ち込みを相殺したと分析した。成長率は27年に3.4%へ持ち直す見通しだが、24年と25年の平均である3.5%をなお下回る。

IMFは26年の総合インフレ率見通しを4月時点から0.3%ポイント引き上げ4.7%とした。来年は3.9%に低下するとの見方を示した。エネルギー価格は2月28日の米・イスラエルによるイラン攻撃と比べて現在は25%高く、今後も高止まりするとした。今回の見通しはホルムズ海峡が7月中旬に再開し始め、27年3月までに戦前の状態に戻ると想定している。

「世界経済は全体として、これまでのところ戦争による衝撃を懸念されたよりもうまく乗り切ってきた」と指摘した。見通しはエネルギー輸出国やハイテク分野との統合が進んだ国にとって明るい一方、AIの発展から恩恵を受けにくい1次産品輸入国は総じて成長見通しが下方修正されたとした。

世界貿易の伸びは、米国の関税を前に大量の駆け込み需要があった25年の5%から、26年には3.5%へと急減速し、27年には4.3%へ持ち直す見込みだ。

IMF調査局世界経済研究部門を統括するデニズ・イガン氏は、中東紛争とホルムズ海峡の閉鎖による影響にもかかわらず、世界経済は4月時点の予想よりも底堅いと述べた。物価は上昇し信頼感は低下したものの、戦略石油備蓄と商業在庫の放出に加え、エネルギー効率の向上が供給不足の相殺に寄与した。民間部門も迅速に対応し、代替の輸送ルートや調達先を確保した。

イガン氏はロイターに対し「これまでのところ状況は落ち着いているが、リスク要因、特に戦争に関するリスク要因がなくなるわけではない」と語った。各国は備蓄をほぼ使い果たしており、対応の余地が狭まっているため、和平合意が崩壊し戦闘が再開すれば大きなリスクをもたらす恐れがあると述べた。

「この地域で紛争が再開すれば、世界経済は紛争が発生した時よりも脆弱な状態で打撃を受けることになる」と指摘。多くの国が同時に石油備蓄の積み増しに動けば、価格の急騰を招く可能性もあるとの見方を示した。「(紛争が)長期化するとの見方が広がれば、備蓄を取り崩す動機も余地も急速に失われることになるだろう」と語った。

同氏はインフレ率とインフレ期待は上昇しているものの大半は短期的な動きにとどまっており、これまでのところ中期的な予測が変化している兆候はほとんどないとの認識を示した。

<シナリオの変更>

今回の世界経済見通しは、米国とイランが停戦合意に達する前の4月に公表した3つの個別シナリオを取り下げ、より伝統的な基本シナリオに基づく予測に戻った。比較はより短期間の戦争を想定したていた4月の参照予測との間で行われた。

IMFは米経済の26年成長見通しを2.3%に据え置いた一方、27年は4月時点から1ポイント引き上げて2.1%とした。

ユーロ圏の26年の見通しは1.1%から0.9%へ引き下げ、27年は1.2%に据え置いた。

日本の26年の見通しは0.1ポイント引き下げて0.6%とし、27年は0.1ポイント引き上げて0.7%とした。

新興市場国・途上国も26年の見通しが0.1ポイント引き下げられ、3.8%となった。一方27年は0.3ポイント引き上げられ4.5%となった。

中国の26年の見通しは4.4%から4.6%に引き上げられた。27年は4.0%から4.1%へ上方修正された。

インドも26年は6.5%から6.4%へ小幅に引き下げられたが、27年は6.5%から6.7%へ引き上げられた。

イラン戦争で最も大きな打撃を受けた中東・中央アジア地域は、26年の成長見通しが1.2ポイント引き下げられ、0.7%となった。27年は1.9ポイント引き上げられて6.5%となった。

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