Miho Uranaka Makiko Yamazaki

[東京 8日 ロイター] - 自民党は、株主提案に関する会社法の規定を国際標準に合わせて見直すことやアクティビスト(物言う株主)による大量保有報告ルールの違反行為に対する執行力強化を提言する方針だ。自民党の成長志向型コーポレートガバナンス改革プロジェクトチーム(PT)座長、小林史明衆院議員がロイターとの単独インタビューで明らかにした。

小林氏はPTについて「アクティビスト対策」との見方を否定し、「厳しくするということではなく、グローバルな市場環境に合わせてイコールフッティング(公平)なルールを整備すること」が狙いだと語った。

小林氏はアクティビストの存在について「企業に緊張感が生まれ、成長志向型の投資を前向きにする行動変容が起こっている」と評価。一方で、「非常に一部の短期的な株主還元や利益を求める行動によって、企業も短期的な株主還元に引っ張られ、将来の成長投資の原資が失われている可能性がある」と懸念を示した。

PTは今月中にも提言を取りまとめる予定。会社法では、株主提案制度の要件厳格化や業務執行に関する定款変更を求める株主提案のルール見直し、代わりに株主総会で株主意思を確認する法的拘束力のない「勧告的決議」について、会社法上の位置付けを整理することも論点になる、と小林氏は明かした。

勧告的決議は海外で広く採用されている。国内でも会社側が任意で株主総会に諮る実務は確立されているが、株主提案としては会社法上の位置付けが明確ではない。このため、業務執行に関する提案は、アクティビストが強制力のある形で定款変更議案として提出するケースが一般的となっている。PTでは、グローバルな制度との整合性を踏まえ、会社法上の位置付けを含め、その在り方を議論する。アクティビストにとっては株主提案のハードルが下がる可能性もある。

日本市場は近年、世界有数のアクティビスト市場となっており、ヘッジファンドなどが株主還元の拡大や政策保有株の解消、資本効率の改善、コーポレートガバナンス(企業統治)改革を企業に求める動きが活発化している。

小林氏はまた、報告義務を回避しながら投資家同士が連携して行動する、いわゆる「ウルフパック(オオカミの群れ)」への対応として、5月に施行された改正金融商品取引法で大量保有制度上の共同保有者と見なされる範囲が明確化されたことに言及。「問題はそれがきちっと執行されるかどうかで、執行力を高めていく」ことが重要だと述べた。そのため、証券取引等監視委員会については、人員増強や人工知能(AI)などデジタルツールの活用を含めた体制整備を提言に盛り込みたい考えを示した。

アクティビスト・ファンドとプライベートエクイティ(PE)ファンドが買収を巡って連携する可能性について問われると、小林氏は、将来の株式譲渡に関するPEファンドとの合意は、大量保有報告書で開示する義務があると指摘。「そのような取り決めが開示されていなかった場合には、執行力を強化する必要がある」と小林氏は述べた。

今回の提言の背景には、企業収益が拡大する一方で、設備投資や研究開発、人材投資が伸び悩み、株主還元だけが大きく増えているとの問題意識がある。PTは、企業による成長投資を後押しするため、会社法などのルールを国際標準に近づけるとともに、違反行為への法執行力を強化し、企業が中長期の成長戦略を株主に説明しやすい環境を整備することを改革の柱に据える。

※インタビューは7日に実施しました。

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