認知症リスクの半分近くは生活習慣の改善で予防できる可能性があることが、新たな研究で明らかになった。運動不足や喫煙、教育水準の低さ、睡眠不足、社会的孤立といった、改善可能なリスク要因に対処すれば、全認知症症例の半数近くを予防できる可能性があるという。

学術誌『ランセット・ヘルシー・ロンジェビティ』に掲載されたこの研究は、オーストラリアのカーティン大学の研究チームが、世界8カ国で実施された公衆衛生キャンペーンやプログラムを検証した。その結果、大規模な啓発キャンペーンは多くの人々に届くものの、知識の向上はわずかで、行動の変容に至っては限定的な効果にとどまることが分かった。

研究チームは、認知症リスクを有意に低下させるには、人々の主体的な関与を促し、個人の状況に合わせた地域主導のアプローチが必要だと結論づけた。情報を提供する受動的なキャンペーンに比べ、双方向型のアプローチのほうが、生活習慣の改善に向けた人々のモチベーションを高める上で一貫して高い効果が確認された。

有効とされたアプローチには、脳の健康を保つための具体的なステップを案内するオンライン教育プログラムや、個人の生活習慣が認知症リスクにどう影響しているかを可視化する個別リスク評価ツールなどがある。また、地域の仲間や医療従事者、コミュニティのリーダーといった、地域で信頼されている人々が主導する地域密着型のプログラムも効果的だった。

なかでも、文化的背景に配慮した内容、身近な環境、そして現実的な目標設定を組み合わせたプログラムは、持続的な行動変容を促す上で特に有効だった。

研究著者のマリオ・シエルボは、今回の研究結果は「人々が知っていること」と「実際に行っていること」との間に明確なギャップがあることを示していると指摘する。

「認知症の症例の最大45%は、生活習慣や健康状態、環境など、改善が可能な要因に関連している」とシエルボは述べている。「だが、単にそのリスクを伝えるだけでは不十分だ。啓発キャンペーンは重要だが、それ単体で意味のある、あるいは持続的な行動変容につながることは滅多にない」

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