※この記事は後編です。前編「商業主義に突き進むFIFAは、W杯の魂を葬り去る『死神』なのか」はリンクからご覧ください。

それを予兆する出来事は1年前に起きていた。昨年のFIFAクラブW杯(クラブチームの世界一を決める大会)は、全米11都市にあるNFL(全米プロフットボールリーグ)のスタジアムで開かれたが、各会場では空席が目立ったのだ。

【動画】【サッカーと地政学】日本代表進化の陰に「地政学的幸運」/「次に来る国」は?/欧州リーグは“外国人問題”の玄人

今大会と同じように、FIFAはチケット価格にダイナミック・プライシングを導入したが、その調整機能はうまく働かなかった。準決勝のチェルシー(イングランド)とフルミネンセ(ブラジル)の試合は、ニュージャージー州の超大型スタジアムで行われたが、チケットの売れ行きがあまりに悪かったため、最終的に価格が約13ドルまで引き下げられた。

それでも大会全体の収益は20億ドルを超え、「1試合当たり3300万ドル」だと、インファンティーノは胸を張った。チケットの売り上げは伸びなかったが、英スポーツ動画配信DAZN(ダゾーン)に世界放映権を約10億ドルで供与し、1億7450万ドルのスポンサー収入も得た。

多くのプロスポーツと同じように、FIFAの最大の収入源は、チケットの売り上げではなく放映権収入だと、EMリヨン経営大学院のサイモン・チャドウィック教授は語る。

今大会は参加チームが従来より16チーム増えて、試合数も104になったことで、FIFAの放映権収入は4年前のカタール大会から3割増の約39億ドルになる見通しだ。さらに一般チケットの売れ行きはいまひとつでも、軽食付きでグループ観戦できる「ホスピタリティーパッケージ」(1次リーグの場合4万〜30万ドル)が積極的に売り出されている。

止まらぬFIFAの新たな収益源探し
【関連記事】