世界が抹茶バブルに沸いている。抹茶の原料、てん茶は国内最大生産地の鹿児島県でもブームの余波で、一番茶の1キロ当たりの平均単価が前年の2.3倍を記録した。

先代から農薬や化学肥料に頼らない茶栽培を実践してきた西製茶工場(鹿児島県霧島市)の西利実(としみ)社長は、「ブームに乗って価格が高騰していけば、買い手離れが起き、品質にもばらつきが出る」と、過熱する市場に危機感を募らせる。

近隣の系列農家も含めて総面積約60ヘクタールになる西製茶の茶畑は霧島山麓に広がる。残留農薬など欧米の厳しい輸出基準をクリアし、20年前にアイス大手の緑茶味に採用されて以降、国内有機茶葉生産の先駆者としてブランド力を高めてきた。

2018年より経営に参画する有機抹茶専門カフェ「ザ・マッチャ・トウキョウ」も国内8店舗、海外56店舗と拡大中だ。

国内の茶農家は高齢化と担い手不足が深刻だが、西製茶の社員は平均30代と若い。西は「次世代につなぐことがサステナビリティ」と、品質追求や技術革新を強みに市場開拓を進め、若手育成にも寄与してきた。

だが、過度な需要はこうした農家の土台をぐらつかせている。

財務省によれば2025年の抹茶を含む緑茶の輸出額は過去最高の約721億円。品薄の国産品が転売され、数倍の値がつく。低品質でも高値で売れるなど、高品質な製品づくりをモチベーションにしてきた農家が差別化を図りにくい状況が起きている。

実は抹茶の定義はない
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