Takahiko Wada
[神戸市 25日 ロイター] - 日銀の田村直樹審議委員は25日午後、兵庫県金融経済懇談会後の記者会見で、現状はインフレ率が大きく上振れて急速な利上げが必要な状況にはないとの認識を示した。「数カ月に一度、0.25%ずつ2%程度の中立金利に向けて利上げを進めていく」ことを念頭に置きつつ、実際の利上げのタイミングは経済や物価、金融情勢次第だと強調した。
田村委員はすでに2%物価目標は「実現された」とし、物価の基調が2%を超えて上昇するのを避けるには政策金利を「中立金利の近辺まで引き上げる必要がある」と述べた。
物価上振れリスクが顕在化する確度が高まってきた場合には、利上げの頻度を上げたり、利上げ幅拡大を検討する可能性はあるが「現時点でそれが必要とは考えていない」と話した。「インフレ率が大きく上振れて急速な利上げが必要になるという事態に陥ることを『ビハインド・ザ・カーブ』と呼ぶとすれば、現状はそうした状況にはない」とも語った。
田村委員は、中立金利を2%程度とみている。中立金利の前提となる自然利子率について、日銀はマイナス0.9%程度―プラス0.5%程度と推計しているが、田村委員は自然利子率がマイナスというのは「ビジネス現場の直感に反する」と述べた。
日銀が6月会合で利上げを決めたものの、米利上げ観測の浮上でドル/円は161円後半で推移している。田村委員は、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去に比べて「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」と指摘。予想物価上昇率の変化を通じて基調物価に影響する可能性にも留意が必要だとして、金融・為替市場の動向やその物価への影響は今後もしっかり見ていきたいと語った。
政府の財政政策についてはコメントを控えた。物価の安定実現によって経済の持続的成長につなげるなど「成長の土台を作る役割が日銀には課されている」と述べた。