Tamiyuki Kihara Takaya Yamaguchi

[東京 25日 ロイター] - 政府が近く策定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に、防衛装備品の増産や海外移転を推進する「法人の設立」を明記する方向で調整していることが分かった。政府関係者の間で「防衛公社」と呼ばれる外部組織で、安全保障環境の急速な変化に機動的に対応できるようにする。有事に弾薬不足が生じないよう民間の工場を国有化することなどを想定。4月に規制緩和した武器輸出を主導する。

ロイターは6月10日、政府が防衛装備の生産基盤強化や輸出促進を国の監督下で一体的に実施するため、新たな法人「防衛公社(仮称)」の設立を検討していると報じた。年末の政府予算編成の指針となる骨太の方針に明記されることで、高市早苗政権の正式な政策として位置付けられる。

複数の政府関係者によると、公社は装備品の生産工場を管理したり、民間と共同事業体を組んで生産・技術基盤を強化したりする主体となる見通しだ。政府は戦闘を継続する能力(継戦能力)を保持するため、弾薬など安定供給が必要な重要装備品の量産体制を整備し、人材の育成・確保に注力する。政府関係者の一人は公社の設立を、年末に実施する安全保障関連3文書改定の「目玉の一つ」と説明。来年1月から始まる通常国会で関連法案を審議することになるとの見方を示している。

今回、骨太の方針には「強い外交・安全保障の確立」との項目が盛り込まれる方向だ。その中で、継戦能力の確保に向けた取り組み強化の重要性に言及。国が工場・設備を取得し、生産や施設管理を民間に委託した上で安定的な装備生産につなげる「国有施設民間操業(GOCO)」を念頭に、「官が正面に立つ移転、融資、伴走支援」などを検討するほか、関係機関との連携も進める。

これに絡み、政府は防衛生産基盤強化法の改正も視野に入れるとともに、スタートアップ企業の関与や、国立研究開発法人、大学などと連携し、最先端技術の迅速な活用も目指す。設立が検討される法人はこうした一連の取り組みを推進するため、国の関与を担保する役割を担うことになる。

また、日本の防衛を俯瞰した政策として、「装備・態勢の両面で5年以内に防衛力を変革する」とし、データと人工知能(AI)の活用や、ドローンを想定した無人アセットの導入、スタンド・オフ防衛能力の強化などによって「新しい戦い方」を目指す。

一方、外交の側面では「平和と繁栄を創る『責任ある日本外交』」を掲げる。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化を図り、分断と対立の進む世界を開放と協調へ導くと明記する見通しだ。日米同盟を基軸としつつ、主要7カ国(G7)や東南アジア諸国連合(ASEAN)、豪州、インド、韓国、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)などの同志国・機関との連携強化を図る。

経済外交の文脈では、ルールに基づく自由貿易体制の維持・拡大を標榜し、包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)の体制・機能の強化を目指す。人道危機や復興ニーズへの対応、地球規模課題の解決を念頭に、政府開発援助(ODA)の拡充にも言及する。

(鬼原民幸、山口貴也 編集:久保信博)

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