Takahiko Wada

[神戸市 25日 ロイター] - 日銀の田村直樹審議委員は25日、物価上振れリスクの高まりを強調した上で、先行きの金融政策運営について「2%の中立金利の水準に向けて、数カ月に一度のペースで0.25%ずつ利上げしていくこと」が基本線であり、物価上振れリスクが顕在化する確度が高まれば、利上げの頻度や利上げ幅といった利上げのペースを「躊躇(ちゅうちょ)なく加速する」と述べた。

兵庫県金融経済懇談会で行ったあいさつの中で、中立金利の水準と利上げペースを明言した。先行き物価上振れリスクが顕在化し、政策金利を中立金利以上の引き締め領域まで急激かつ大幅に引き上げざるを得なくなる事態を避けるためにも、今のうちから「政策金利を中立金利に近づけておくことが重要だ」とも述べた。

田村委員は、物価上振れ対応に重心を置いた金融政策を通じて物価の安定に努めていくことが「結果的に、日本経済の下振れを和らげることにつながる」と指摘した。「政府と十分な意思疎通を図りつつ、物価の番人として物価の安定に努めることが、日本銀行の使命だ」とも語った。

田村委員は、先行きの物価の上振れリスクを強調した。

今年の春季労使交渉でも「しっかりとした賃上げ」が維持できる見込みになったことを踏まえ、基調的な物価上昇率は「既に2%の物価安定目標とおおむね整合的な水準に達した」と指摘。基調物価の2%達成は「26年度後半から27年度」とする日銀の中心的な見通しに比べ、強い見方を示した。

家計や企業の予想物価上昇率が「おおむね2%に到達している」とした上で、「今回の中東情勢の影響も相まって、これがさらに上振れてしまわないか懸念している」と話した。ロシアがウクライナに侵攻を開始した2022年に比べ、企業の価格転嫁の積極化や需給ギャップのプラス圏推移なども踏まえると、今回の輸入物価上昇が「22年当時以上に、迅速、大幅かつ広範に販売価格に転嫁されるのではないかと心配している」とも述べた。

日銀は6月の金融政策決定会合で、27年4月以降は国債買い入れの減額を停止し、月2兆円程度の買い入れを継続することを決定したが、田村委員は反対した。

あいさつの中で田村委員は、最近の長期金利上昇は「基本的にはファンダメンタルズに沿った動き」であり、日銀の買い入れ減額で市場に混乱が生じているわけではないと指摘。「依然として国債保有残高は欧米と比べて高水準であり、少しでも早く正常化を進めるため、買い入れ額の減額を続けるべき」と主張した。

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