<米国は近年、秘密影響工作で稚拙な失敗を重ねる。日本は同盟国・米国を影響工作の主体としても見据え、その失敗を反面教師にしなければならない>

2026年6月2日、米軍がラテンアメリカ向けに運用していたAIプロパガンダのネットワーク「ラ・ティルデ(La Tilde)」が、調査報道メディアのインターセプトによって暴かれた。生成AIで記事と画像を雑に量産しただけの代物で、暴露された結果、かえって米国の信用を損なうという逆効果を招いた。

認知戦やデジタル影響工作の分野で、米国は長く高い能力を持つ国と見なされてきた。だが、その実像はいま二重の意味で揺らいでいる。

第一に、米国がみずから仕掛ける「攻め」の工作が稚拙で、失敗を重ねている。第二に、外国の工作を分析し対処する「守り」の体制を、第2次トランプ政権が自らの手で解体しつつある。

米国はいまや、攻めが低レベルで、守りを放棄しつつある認知戦国家である。しかし低レベルであることは、無害であることを意味しない。むしろ要警戒であり、同時に日本にとっては「やってはならないこと」を教えてくれる反面教師でもある。最新の失敗例から説き起こしたい。

1. ラ・ティルデ 「掘ってもAI」の失敗作
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