John Revill
[ベルン 18日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は18日、政策金利を0%に据え置いた。イラン情勢の影響で足元でインフレが加速したが中期的な物価圧力にはほとんど変化が見られないとの見方を示した。
イランと米国が和平で合意したが中東情勢は依然極めて不透明だと中銀は指摘。声明で「エネルギー価格上昇でインフレ率はここ数カ月上昇した。ただ、中期的なインフレ圧力は前回の金融政策評価と比べて実質的に変わっていない」とした。
中銀のシュレーゲル総裁は会見で、「状況はなお非常に不透明だ」と表明。政策決定では最新情勢も検討したとし、緊張緩和が一時的なものにとどまる可能性も排除できないと述べた。
金融市場もロイター調査によるエコノミストも金利据え置きを予想していた。政策決定後、スイスフランはやや下落した。
5月の総合インフレ率は燃料価格高騰を背景に4月と同じく0.6%で2024年11月以来の高水準だったが、エネルギーを除いたコアインフレ率は0.3%にとどまった。総合、コアともに中銀の目標レンジ(0─2%)に収まった。
中東紛争勃発時に対ユーロで10年以上ぶりの高値を付けたスイスフラン高もインフレ抑制に寄与している。
政策金利を据え置いた前回3月、中銀は、イラン情勢を受けたスイスフラン高進行を受けて市場介入する方針を示した。今回は文言を若干修正し、「必要であれば」外国為替市場に介入する意欲を高めていると述べた。
シュレーゲル総裁は、中銀の為替市場での行動意欲が高まっているのか低下しているのかを「言うのは難しい」としながらも、フランへの上昇圧力のリスクは残っていると述べた。
INGのシニアエコノミスト、シャルロット・ドモンペリエ氏は、この文言について中銀が介入に選択的になる兆候と説明。「(3月初めのような)市場が緊迫した時期には使いたいが、かつてのように恒常的な介入はしないということだ。現時点で介入するとは思えない」と述べた。
金利についてエコノミストからは、良好なインフレ状況、経済の弱い部分を考えると、ゼロ政策の延長は理にかなうとの声が出ている。
UBSのエコノミスト、アレッサンドロ・ビー氏は、地政学的な不確実性が高止まりしていると指摘した上で、「スイス経済は堅調に見えるかもしれないが、設備稼働率、インフレ率、消費者信頼感は依然として低く、失業率は上昇している」と述べた。
前出のドモンペリエ氏は、中銀にとって現在の状況は非常に快適だとし、「インフレは非常によく制御されており、方針を変更する理由はなかった」と述べた。他の中銀がタカ派になるにつれて、フランの上昇圧力も低下していると指摘した。同氏は、26年、27年、28年も、利上げはないとみている。
中銀は、中東情勢が再び悪化して経済活動を抑制する可能性があるとする一方、米国の通商政策も引き続き不確実性の源泉だと強調した。26年のインフレ率予想は従来の0.5%から0.6%に引き上げ、今後2年間についてもそれぞれ0.1%ポイント引き上げた。それでも平均インフレ率は1%を明確に下回り、目標レンジに十分収まると見通している。