Casey Hall Sophie Yu
[上海 18日 ロイター] - 中国で5月中旬から実施されていた恒例の大型ネット通販セール「618商戦」は、低調なまま最終盤を迎えた。消費意欲の低迷に加え、政府が電子商取引(EC)プラットフォームに過度な値引き競争をしないよう圧力をかけていることが背景にある。一方で、大手プラットフォーマーの間では、消費者の買い物の助けとなる人工知能(AI)ツール導入の動きがあり、単なるセールでなく、テクノロジーを試験する機会にもなっているようだ。
618商戦は、京東商城(JDドット・コム)の6月18日の創業日にちなんだセールに由来する。当初は1日限りの創業祭だったが、主要ECプラットフォームが参画して数週間にわたる催しに発展し、11月の「独身の日」に次ぐ大型ネット商戦となった。
今年は、5月中旬に始まり、6月20日か21日まで続く。期間は約40日間で、プラットフォームによっては前年より3─4日長い。
小売データ会社Syntunによると、2024年より約1週間長かった25年は、EC業界の販売指標となっている流通取引総額(GMV)が8556億元(1270億ドル)で15%増加したものの、1日当たり販売額は減少した。
今年のデータは来週公表される見通しだが、期間の長期化もあり、総売上高は1桁台の伸びにとどまるとアナリストはみている。
<AIの効用に注目>
今年前半、EC企業の間では人工知能(AI)ツールの導入が広がった。アナリストは、消費者がどの程度それらを利用しているか注目している。
例えば、アリババ・グループは「淘宝(タオバオ)」に自社のAIモデル「Qwen(通義千問)」を組み込んだ。利用者は、ECアプリの商品リストを手作業で検索するのではなく、Qwenアプリを介してAIエージェントと対話しながら商品の閲覧、比較、購入ができる。
CTRマーケット・リサーチのゼネラルマネージャー、ジェイソン・ユ氏は、大手EC企業は全て、618商戦を利用して自社のAIツールをテストしていると指摘。「巨大プラットフォーマーにとっては単に販売の競争でなく、テクノロジーの主戦場という意味合いが強まっている」と同氏は述べた。
<安売りに飛びつかない>
淘宝、「天猫(Tmall)」を展開するアリババは、今年の商戦について、中国政府の値引き競争取り締まりを背景に「決定的な変化」が見られたとし、「各ブランドは売上高よりも健全な利益率を優先している」と述べた。
ベイン・アンド・カンパニーの大中華圏コンシューマープロダクツ部門責任者、デレク・デン氏は「今年はかなり静かだと感じている。これは市場にとって良いことだと思う。人々の消費パターンが正常化していることを示している。大規模セールのときだけまとめ買いをするのではなくなった」と述べた。
北京のインターネット企業でエンジニアとして働くユ・ヤン氏は、「洗濯用洗剤を買ったが、安かったからではなく、単になくなったからだ」と語った。