Stine Jacobsen
[コペンハーゲン 16日 ロイター] - アイスランドのクリストフェルソン財務相は、経済を押し上げ、より大きな貿易相手国に対抗し、北極圏での覇権争いに耐えるために欧州連合(EU)に加盟すべきだとロイターに語った。アイスランドは、8月29日にEU加盟交渉再開の是非を問う国民投票を実施する。
同国では2013年に欧州懐疑派政権が誕生し、加盟交渉を中断した。8月の国民投票は、加盟そのものの是非を問うものではない。交渉再開が支持された場合、加盟の条件を巡り2回目の国民投票を必要とする。
反対派は、アイスランドはすでに欧州経済領域(EEA)を通じて単一市場にアクセスできており、EUに加盟してあえて加盟国としての義務や負担を負う必要はないと主張。水産業界は、EUの共通漁業政策に参加すればアイスランドの海域を外国漁船に開放することになりかねないと懸念している。
クリストフェルソン氏はロイターに「加盟はわれわれの経済的利益と安全保障上の利益の双方にかなうと思う」と述べた。
「小規模な開放経済の国にとって、核心的価値は常に自由貿易とルールに基づく秩序になる。われわれには武力で利益を守る能力がないからだ」とした。
<北大西洋の「不沈空母」>
安全保障に関し、クリストフェルソン氏は、1951年に米国と締結した二国間防衛協定と北大西洋条約機構(NATO)加盟が基盤になっているとした。しかし、トランプ米大統領がグリーンランド取得の意向を示したことで、状況認識が一定程度変わったという。
米国の認識は自国の勢力圏がアイスランドとグリーンランドの先まで及んでいるというもので、「それが変わることはない」と予想。この問題は、グリーンランドと欧州の間に位置し、大西洋で最も監視されている海域の一つにあるアイスランドの戦略的重要性を浮き彫りにしたと指摘し、「われわれは不沈空母であり、今後も不沈空母であり続ける」と語った。
アイスランド大学のギルフィ・ゾエガ教授(経済学)は、本来なら10年かけて展開したかもしれない変化が、トランプ政権下で18カ月に凝縮されたと指摘した。
「欧州は独力でやっていくしかない。アイスランドは、米本土の防衛にとって重要な米軍基地となるのか、それとも欧州の一員となるのかを決めなければならない。それが大きな問いだ」と述べた。
<経済メリット>
アイスランドは人口がわずか40万人で、4億5000万人を抱える欧州経済圏の中で最小の国だが、その戦略的な位置と豊かな漁場からEUにとって魅力的な加盟候補国になる。
アイスランドの学術団体によれば、同国は最も物価の高く、中央銀行の政策金利は7.75%となっている。
クリストフェルソン氏は、EU加盟により金利が低下する可能性があるとの見方を示した。
中央銀行のヨーンソン総裁は最近、ユーロ導入の利点として取引コストの低下、競争の促進、金利の低下を挙げた。一方で、ユーロ導入がインフレを招く可能性があり、いずれにせよ抜本的な労働市場改革が必要になると指摘した。
クリストフェルソン氏は、アイスランドクローナは非常に小規模な通貨でボラティリティーの影響を受けやすいと指摘。EU加盟により、完全変動相場制の維持、ユーロへの連動、ユーロの全面導入という3つの選択肢が生まれると語った。