Lewis Krauskopf Saqib Iqbal Ahmed
[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米国とイランが戦争終結に向けた覚書に署名し、石油輸送の要衝ホルムズ海峡が近く開放される見通しになったことを受け、15日の米原油先物価格は3カ月ぶりの安値を付けた。エネルギー価格主導のインフレによる成長懸念が緩和し、消費関連株を含む景気敏感株(シクリカル株)や小型株に資金が流入するとみられている。これまで相場をけん引してきた人工知能(AI)関連をはじめとするハイテクセクターから市場の関心が移る兆しが出ている。
エドワード・ジョーンズのシニアグローバル投資ストラテジスト、アンジェロ・クルカファス氏は「地政学的緊張の緩和は、インフレ圧力を一部和らげ、債券利回りを低下させる可能性がある」と指摘。「出遅れていた景気敏感セクターや分野へのローテーションを促すきっかけになり得る」と述べた。
ダコタ・ウェルス・マネジメントのシニアポートフォリオマネジャー、ロバート・パブリック氏は、原油安によってガソリン代が下がれば、消費者の裁量的支出余地ができると指摘。ホーム・デポ、ターゲット、メイシーズなどの小売株が恩恵を受ける可能性があると語った。
BCAリサーチのストラテジストは15日、「地政学的緊張の緩和と原油価格の下落」を理由に、一般消費財セクターで「戦術的な買い(ロング)」のポジションを構築し始めたと明らかにした。
AI相場に取り残されていた割安な銘柄を探す動きが始まっているようだが、ハイテク株が好調を維持している間は、資金を移すことをためらう可能性があると、パブリック氏は指摘する。
アメリプライズのチーフマーケットストラテジスト、アンソニー・サグリンベン氏も、米イランの持続的停戦は原油価格を下げ、株式市場でAIやハイテク以外に上昇の裾野を広げるのに役立つ可能性があるとみるものの、「投資家は実績のある勝ち組銘柄を買い上げることに最も関心があるようだ」と述べた。
<下半期に市場の裾野は広がるか>
現在のところ、多くの市場ストラテジストが株高の裾野拡大を予想する。
JPモルガンのストラテジストは調査ノートで「力強い企業業績、安定したインフレ期待、下半期の地政学リスクの緩和に支えられ、当社のポジティブなマクロ見通しが実現すれば、景気敏感株は年末まで市場平均を上回る好位置にとどまるはずだ」と指摘した。
モルガン・スタンレーの株式ストラテジストは、業績トレンドが改善している一般消費財、輸送、地方銀行株について、今後「相対的な強さ」を見込んでいる。同社は15日のノートで「保有比率が低い景気敏感グループへの波及が進行中だ」と述べた。
ソシエテ・ジェネラルの株式ストラテジスト、マニッシュ・カブラ氏は15日のノートで「最近のショックは米国の耐性を強めたが、原油価格が1バレル=80ドル付近まで下落してエネルギー関連の緊張が緩和したことは、米国以外の市場へのキャッチアップ資金流入を促すきっかけになる可能性がある」と述べた。
<裾野拡大には利下げが必要か>
一部の投資家は、市場の裾野を広げるには他の要因が必要になると指摘する。たとえば金利見通しだ。市場は年初は利下げを織り込んでいたが、中東情勢を受けてインフレが進行し、利上げの織り込みに転換した。
今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利の据え置きが予想されている。
カーソン・グループのグローバルマクロストラテジスト、ソヌ・バルギース氏は、「市場の他のセクターがAIストーリーをアウトパフォームするか考える場合、利下げの織り込みを確認する必要があるだろう」と述べた。
マーフィー・アンド・シルベスト・ウェルス・マネジメントのシニアウェルスアドバイザー兼市場ストラテジストで、金融株やヘルスケア株のポジションを持つポール・ノルテ氏は、他のセクターが主導権を握るにはハイテク株が失速する必要があるとみる。「他のセクターが押し上げられるのは、ハイテクセクター、すなわちAI取引がつまずいたときだ」と指摘。「ハイテク株はこれまでのところ、他のセクターが好成績を収めるのが難しいほど、資金を吸い上げてしまった」と語った。