Li Gu Casey Hall Jiaxing Li

[上海/香港 15日 ロイター] - イランで戦争が勃発して以来、グローバルな機関投資家が中国の国債をポートフォリオに組み込んでいる。利回りは低いが、西側市場との相関性がゼロに近いことが魅力と受け止められたためだ。

3月以来、世界主要国の国債市場は大揺れとなった。米国、英国、ユーロ圏、日本の指標国債利回りは35―60ベーシスポイント(bp)急上昇した一方、年限が同じ中国国債の利回りは8bp低下した。

政府系ファンドから中央銀行、保険会社に至るまで、リアルマネー投資家は中国国債のアウトパフォームぶりに注目。中国国債の利回りはスイスを除いて世界最低水準に低下したにもかかわらず、ポートフォリオに組み入れる動きが広がった。

BNPパリバ証券のマルチアセット投資責任者ウェイ・リー氏は中国国債について、地域ポートフォリオにおいて高リスク・高利回り資産とのバランスを取るボラティリティーの低い資産として機能し、「元本確保型マンデート」を課せられた機関投資家の人気を集めていると説明。「中国(国債)は卓越した価格安定性を提供している」と語った。

伝統的な「安全資産」が崩れたこともあり、中国国債の魅力は特に際立っている。例えば金地金は1月の高値から約25%下落した。

米国とイランが戦闘終結合意に達しても、中国国債の追い風の多くは消えていない。物価を圧迫する経済構造や、中国人民銀行(中央銀行)のハト派姿勢、巨額の国内投資などだ。

国泰10年物中国国債ETF(上場投資信託)は年初からのリターンがプラス1.26%なのに対し、米国債に特化したiシェアーズ7―10年国債ETFはマイナス2.57%、インベスコのユーロ国債ETFはマイナス1.23%となっている。

UBSアセット・マネジメントのアクティブ債券責任者マティアス・デットウィラー氏は「CGB(中国国債)と欧州金利の相関性はゼロに近い。これは魅力だ」と指摘。資産保全(元本確保)とポートフォリオ分散を目標とする投資家にとってみれば、「絶対利回りは大して重要ではない、とさえ言える」と説明した。

中国人民銀行の上海事務所が15日に公表したデータによると、外国人投資家は5月に人民元建てのオンショア中国国債を昨年4月以来初めて購入。5月末時点の外国機関によるこうした国債の保有額は3兆2100億元(4750億ドル)と、前月の3兆1200億元から増えた。

<相関性の低さが低利回りを相殺>

中国は豊富なエネルギー備蓄を抱える上、消費が恒常的に低調なため物価上昇圧力が乏しい。このことが、エネルギーショックの影響から中国国債市場を隔絶する要因となっている。

巨額の家計貯蓄が銀行を経由して国債市場に流れることも、利回りを押し下げている。

アバディーンの債券担当シニア投資マネジャー、ジェローム・テイ氏は「CGB市場では流動性が大きな役割を果たしている。流動性は依然として極めて豊富だ」と語った。

10年物中国国債の利回りは現在1.75%と、同年限の日本国債利回りを約1ポイント下回っている。日本の金利が世界で最も低かった昨年末とは力学が反転した形だ。

しかし、日銀による10年来の大規模な金融緩和と20年にわたるデフレで利回りが消滅した末、資金が海外市場に流出した日本とは異なり、中国は厳しい資本管理を行っているため資金が国内にとどまっている。

また日本、欧州、米国の中銀と違ってインフレが抑制されている中国の人民銀行はハト派寄りだ。

PIMCOのアジア担当ポートフォリオマネジャー、スティーブン・チャン氏は「こうしたマクロ環境と政策姿勢の違いゆえに、中国国債市場は世界の金利環境が不安定化する中でも比較的安定を保っている」と説明。「当社はレラティブバリュー戦略に集中し、中国債券への投資を全般に維持していく」と語った。

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