Yusuke Ogawa

[東京 12日 ロイター] - 元国家安全保障局長の北村滋氏が代表を務めるコンサルティング会社「北村エコノミックセキュリティ(KES)」は、経済安全保障に特化した投資ファンドを立ち上げる。最大で300億円を調達し、防衛や航空宇宙、サイバー分野などで重要な技術を持つ国内新興に投資する。民間資金を活用し、外国企業による買収や技術流出を防ぐ狙いだ。

ロイターの取材に北村氏が明らかにした。今秋をめどに始動する経済安保ファンドは、日本のスタートアップや中小・中堅企業を中心に、約60社に投資する。企業価値100億円未満の非上場企業を主な対象とし、1社当たりの投資額は数億円にとどめ、経営権を取得せずマイノリティー(少数)出資する計画だ。

重点分野は、AIやバイオなどの先端技術、海底ケーブルや衛星通信をはじめとした経済インフラ、半導体を含む重要物資のサプライチェーン、航空宇宙、防衛、サイバーインテリジェンスの6つを想定する。ファンドの期間は最大10年で、新規株式公開(IPO)や他社への売却を通じて、リターンを確保する。

北村氏は「(安保上の)懸念国資本への売却は避け、国内企業や同盟国企業などを将来の買い手として想定する」と話した。

国内の中小・中堅企業では、資金繰りの悪化や後継者難をきっかけに、海外資本の受け入れ判断を迫られるケースが増えている。北村氏は「買収や出資を打診する企業の中には、実質的な資金の出し手が見えにくい事例もある」と語った。

また、ロシアによるウクライナ侵攻や中国の軍事的台頭などを背景に、日本を含む各国の防衛予算が増える中、「国の安全保障にかかわる企業への成長期待が高まっている」としている。

2号ファンド以降は運用規模を拡大し、海外勢による買収提案を受けた国内上場企業に対し、ホワイトナイト(友好的な買収者)として出資するケースも視野に入れているという。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。