Olena Harmash Sergiy Karazy
[11日 ロイター] - 戦場のあらゆる場所から送られてくるライブデータが映し出された壁一面のスクリーンに囲まれた地下深くのシェルター。ウクライナのドローン(無人機)部隊司令官は、膨大な情報を精査しながら次の作戦を練り上げている。それはクリミアをロシアから切り離すことだ。
ロシア占領下のウクライナ各地で激化するウクライナ軍によるドローン攻撃は、ロシア軍の兵站や燃料供給を混乱させており、先月にはクリミア当局が燃料の配給制を導入する事態となった。
ウクライナの無人システム戦力を統括するロバート・ブロブディ氏は、この作戦を通じてロシア占領下のウクライナ南部を通ってクリミアへと至る重要な軍事補給路「ノボロシア高速道路」の交通量が、過去1カ月で3分の2余り減少したと述べた。
自身のルーツであるハンガリーにちなんだ「マジャール」というコールサインで知られるブロブディ氏は、あと1カ月もあればウクライナはこの道路を完全に制御下に置くだろうと自信を見せる。
ブロブディ氏はロイターに「近い将来、われわれはクリミアを孤立させる」と言い切った。
ロシアがクリミア半島とウクライナ東部の一角を制したのは2014年だ。ブロブディ氏は、遮るもののない高速道路上の車両を攻撃することを「開けた野原でヤマウズラを撃つようなもの(極めて簡単)だ」と表現した。
ロシア国防省はこの件に関するコメント要請に応じていない。プーチン大統領は先週、ウクライナのドローン攻撃が損害を与えていることは認めたものの、ロシア経済への脅威にはならないとの見解を示した。
軍事専門家の話では、ロシア占領地域内へのウクライナ軍の中距離攻撃は前線への補給を遮断し、それによって先月のロシア軍の進軍はほぼ停滞しており、防空網も弱体化させている。これが、ロシア領内奥深くにある石油インフラや武器製造施設を破壊する長距離攻撃への道を切り開いているという。
ブロブディ氏は、自身の戦略目的の一つはロシア側に進軍ではなく撤退を強いることだと説明。「軍人であれ国防産業に従事する者であれ、クリミアや一時占領地域にとどまったり、そこへのアクセスルートを利用したりすることを極めて困難にする状況を作り出す」と強調した。
ブロブディ氏は、中距離の戦闘出撃回数は1年で28倍に増加し、ロシア領内奥深くへの攻撃は同期間でほぼ4倍になったと語る。今年1-5月でドローン部隊はロシア軍防空システムの装備品174基(損害額約54億ドル)を破壊し、他の標的への道を切り開いたという。
ロシアの軍事要員、石油施設、兵器生産を体系的に標的にすることで、継戦能力と意志を削ぐのに十分な苦痛を与えたいというのがブロブディ氏の考えだ。
またブロブディ氏は、ウクライナは民間人や民間施設を直接攻撃したことはなく、今後もそうすることはないと付け加えた。ロシアはここ数週間、ウクライナ軍が占領下のウクライナで数十人の民間人を殺害したと非難している。
カーネギー国際平和財団のロシア・ユーラシアプログラムの上級研究員、マイケル・コフマン氏は、ドローン技術の進歩により、時間をかけてクリミアを遮断することは実現可能になったと分析する。ただ、ロシア軍を押し戻すという、より広範な戦略目標を達成するには、依然として調整された地上攻勢が必要になるとの見方を示した。
コフマン氏はまた、ロシアの精鋭ドローン部隊「ルビコン」も、中距離ドローン分野におけるウクライナの現在の優位性を無効化するために懸命に動いていると指摘した。