Brenda Goh Liz Lee

[ソウル/北京 10日 ロイター] - 中国の習近平国家主席の先週の北朝鮮訪問で、両国とも大きな成果を得たと主張した。習氏の2日間の訪問によって北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の世界的な地位が高まり、中国は北朝鮮を勢力圏により強く引きずり込んだ。

習氏と金氏はともに相手への称賛を惜しまず、協力の深化について言及。北朝鮮は習氏を21発の礼砲と、中国および北朝鮮の歌の演奏で出迎え、北朝鮮の核ミサイル開発やトランプ米政権といった厄介な問題についての議論を避けた。

米首都ワシントンに拠点を置くシンクタンク、スティムソン・センターのジェニー・タウン氏は「金氏は北朝鮮が今や世界秩序の再構築で極めて重要な役割を果たしていると頻繁に語ってきたが、ロシアとの連携はその主張を裏付ける大きな根拠となっている」とした上で、「習氏が今年最初の外国訪問先として平壌を選び、北朝鮮の核計画が議題に含まれていなかったことは金氏にとって大きな勝利だった」と指摘した。

米政府が5月に「習氏とトランプ米大統領が北京での会談で、北朝鮮の非核化という共通の目標を確認した」と発表したことを受け、金氏の妹である金与正党総務部長は米国が虚偽の情報を流していると非難していた。

ユーラシア・グループの中国・北東アジア担当アナリスト、ジェレミー・チャン氏は「中国は既にその問題から明らかに距離を置き、現在は北朝鮮を核保有国として暗黙のうちに容認している。これにより、北朝鮮の目には中国がロシアと同等の立場にあるように映っているだろう」とし、「中国は今回の訪問の主な目標、すなわち北朝鮮との距離を縮め、北朝鮮でのロシアの影響力拡大に対抗するという目標を達成したと思う」と話した。

しかし、中国の識者たちは、今回の訪朝はいかなる第三国に向けられたものでもなく、いかなる第三国の影響を受けるものでもないと指摘する。南京大学のチャン・ユン教授(国際関係学)は「今回の訪朝は主に、伝統的な二国間友好関係を固めることを目的としている」と述べた。

中国外務省は9日の定例記者会見で北朝鮮の非核化について協議したかどうかについて問われた際、朝鮮半島に関する中国の立場と政策は一貫して安定していると説明した。非核化について言及しないことは北朝鮮を核保有国として暗黙のうちに容認していることを意味するのかとの質問に対し、外務省は11日、中国はこの問題に関する立場を繰り返し表明してきたと回答した。

中国政府は公式には北朝鮮の核増強に反対しているが、公の場でこの問題を追及することは次第に避けるようになっている。

<協力の限界>

それでもアナリストらは、首脳会談に関する双方の説明には明らかな違いがあると言及する。北朝鮮がイベントの華やかさを強調し、中国と対等な立場にあることをアピールしたのに対し、中国は貿易、観光、法執行分野での成果への期待を表明したからだ。

タウン氏はこのことに関し、ウクライナに侵攻したロシアに北朝鮮が兵士を派遣し、その見返りとして経済支援を受けることでロシアに接近してきた北朝鮮が、中国との関係改善にどこまで踏み込む用意があるのかには限界があることを示唆しているとの見解を示す。

タウン氏は「金氏と習氏の関係には、金氏がロシアのプーチン大統領と築いているような親密さがないことは明らかだ。両者の間には個人的な親近感はほとんどないようだ。しかしながら両者とも、この関係を推進することの戦略的価値を理解している」と言及した。

一方、北朝鮮専門サイト「NKニ​ュース」の創設者⁠チャド・オキャロル氏は、金氏が中国の「一つの中国」の原則を明確に支持し、中国側が軍事協力に言及したことが目立ったとして「北朝鮮によるロシアへの支援は、北朝鮮が戦時中に大国に対して物質的な支援を提供できることを示した。中国に対して同等の約束をしたことを示す証拠はまだないが、台湾を巡る北朝鮮のメッセージはこれまでになく重要になっている」と語った。

今回の訪問を注視した関係者らは、金氏の娘のジュエ氏が姿を見せるかどうかにも注目していた。金氏に同行していれば、金氏の後継者として育成されているという韓国情報機関などの主張を裏付けるものとなったからだ。

13歳前後とみられるジュエ氏は昨年の金氏の北京訪問に同行しており、金氏と一緒に撮影された写真が頻繁に公開されている。しかし、中国と北朝鮮の国営メディアが公開した今回の訪問の写真にはジュエ氏の姿は見られなかった。

シンガポールのS・ラジャラトナム国際問題研究大学院で中国プログラムを担当するベンジャミン・ホー准教授は、ジュエ氏が不在だったことは中国の流儀に合致しているとして「中国政府は儀礼を重んじる傾向があるため、出席している高官たちの中に少女が混じっていると気まずい雰囲気になる」との見方を示した。

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