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[ロンドン/パリ/グダニスク 8日 ロイター] - 中東情勢の緊迫が引き起したジェット燃料価格の高騰が世界的な旅行市場に波紋を広げている状況で、富裕層の最高経営責任者(CEO)、有名人、スポーツスターたちはモナコ・グランプリ(GP)からカンヌ映画祭に至るまで華やかなイベントを目指してかつてないほど多くのプライベートジェットで旅行している。

プライベートジェット産業界のウォッチャーによると、この現象は高級品から外食まで消費市場の全体に現れている、いわゆる「K字型」経済の新たな象徴だ。高所得の旅行者が支出を増やす一方で、中・低所得層は財布のひもを固く締めており、特に格安航空会社(LCC)が深刻な打撃を受けているためだ。

ジェット燃料のコストはイラン戦争が今年2月後半に始まって以来おおむね2倍になり、世界中の航空会社が運航便のキャンセルや航空運賃の値上げに追い込まれている。一方で、ペルシャ湾周辺に対するミサイルや無人機(ドローン)の攻撃で、かつて世界的な中継地であったこの地域を通過するフライトがほぼ半減した。

航空データ会社WINGXによると、世界全体のプライベート航空便数は今年これまでのところ約4%増加し、数千回もの便数を上乗せしている。航空分析会社シリウムのデータによると、世界全体の航空輸送能力はこの同じ期間中に3―4%減少した。

<かつてないほどの忙しさ>

プライベートジェットのパイロットや業界幹部らがロイターに語ったところによると、中東の紛争がもたらした商業航空便の欠航や空港の混乱を巡るリスクを回避するために、富裕層の旅行者がプレミアムクラス、ビジネスクラス、ファーストクラスを見限り、チャーター機サービスの利用が急増しているという。

アマルフィ・ジェッツの創業者兼CEOのコリン・ジョーンズ氏は人々が商業航空便から乗り換えたために、今年のカンヌ映画祭でフライト要請が前年比約25%増加し、7日に開催されたモナコGPのフライト要請は約33%伸びたと明らかにした。「カンヌ映画祭、モナコGP、欧州から米国に向けたサッカーのワールドカップ(W杯)関連の旅行が需要をけん引している」と述べた。

8人のプライベートジェット業界幹部らは、領空の安全懸念から中東向けのプライベート機による移動が減少したが、欧州と米国向けの旅行需要は今年、記録的な水準に近づく可能性が高いと述べた。

中東やアジアの路線を運航してきたプライベートジェットのパイロットのアンディ・スペンサー氏は「かつてないほど忙しい」と話した。

航空データ会社WINGXがロイターに語ったところによると、今年2月前半に米カリフォルニア州で開催されたスーパーボウルの期間中、周辺空港のプライベートジェットの運航便数は通常の3倍に達した。4月に米ジョージア州オーガスタで開催されたマスターズ・ゴルフトーナメントはプライベート航空便数が通常の10倍となり、普段の50便未満から400便超に跳ね上がった。

<物事を制御できれば安全だ>

プライベートジェットの利用は、気候変動問題に取り組む環境団体や活動家から激しい批判を受けている。彼らはプライベートジェットの利用が世界的な不平等を際立たせており、環境に対する脅威となっていると指摘、プライベートジェット産業部門に対する規制が甘すぎると話している。

欧州ビジネス航空協会の報道担当者はプライベートジェット産業部門が欧州の接続性に重要な役割を果たしており、批判は過度に単純化されていると述べた。一方で、航空機メーカーやチャーター運航会社は裕福な個人が不確実な時代により高い安全性をただ求めているだけとの見方を示した。

シルバー・エアー・プライベート・ジェッツのオーナーであるジェイソン・ミドルトン氏は中東紛争、コロナ禍、南米の政情不安を挙げて「世界的な出来事が起きるたびに、毎回のように、プライベート航空業界は少しずつ需要の押し上げを経験している」と指摘。「安全を求める気持ちのようなものだ(中略)人々は自分で物事を制御できていると安全だと感じるのだ」と述べた。

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