家業で必要な資格を取るために就業した繁延さんが、過酷な仕事で社会的に十分に価値があるのに賃金が低く、職場環境が改善されないのはなぜかと日々考え、みんなの意見を仕事に反映させようと動き出す。
人を信じ、意見を述べる姿が心に深く残った。そして出張先で本を読みながらひとり飲みする姿に勝手ながら親近感が沸いて、こういう本をこれからも読み続けられたらいいなと思った。
読み終えた瞬間になぜか『水車小屋のネネ』が浮かんだ。フィクションとノンフィクションは全く別の場所で別の時間に書かれているのに、私の中で隣に置かれていた。今ここで、周りの人に助けられながら活動することを心掛けて、もうすこしだけ、できる何かを続けてみようと考えている。何十年続けても確固たる視座は見つけられていない。
徳永圭子(Keiko Tokunaga)
1974年生まれ。1997年より書店に勤務する。雑誌や新聞で書評・コラムを連載。著作に『暗がりで本を読む』(本の雑誌社)。


