ドナルド・トランプ米大統領の対イラン戦争は、わずか数週間前の見通しより、さらにひどい結果を招きつつある。トランプはアメリカの圧倒的な軍事力を地政学的勝利につなげられないだけでなく、世界におけるアメリカの立場そのものを弱体化させている。

トランプはこの戦争が始まる前から、古くからのアメリカの同盟国や、同盟という概念そのものまで口汚く批判してきた。そのため欧州やアジアの同盟国の間には、自国が侵略を受けた場合にアメリカが本当に守ってくれるのかと疑う声も多く上がっていた。

今や同盟国の指導者は、たとえアメリカに支援の意思があったにせよ、そのための十分な能力がないのではないかと不安を隠さない。安いイラン製ドローン(無人機)群を撃墜するために、米軍が一部ハイテク兵器システムの備蓄の半分以上を使い果たしたことは、同盟国だけでなく敵対国も見逃さなかった。

その不安に追い打ちをかけたのが、米国防総省が台湾向けの140億ドル規模の武器売却計画の一時停止を発表したことだ。兵器の一部をイランとその周辺での米軍戦力の補強に回すための決定だった。

米国防総省はこれに先立ち、日本への巡航ミサイル「トマホーク」400発の納入を大幅に遅らせ、ペルシャ湾地域に振り向けた。長年にわたって韓国に配備されていたTHAAD(高高度防衛ミサイル)も、一部を中東に移転させた。

イランのような軍事的に格下の国との戦争で、外国配備分や輸出向けの兵器在庫に手を付けなければならないなら、アメリカは同格の軍事大国による攻撃をどうやって阻止できるのか──同盟諸国はそう疑問に思わざるを得ない。

関与の意思さえ希薄に

さらに不穏なのは、トランプが同盟国の懸念やその運命に無関心に見えることだ。中国の習近平(シー・チンピン)国家主席との首脳会談直後、トランプは台湾向けの140億ドルの武器売却を行うかどうかはまだ決めていないと述べ、それを中国との「交渉材料」に使う可能性を示唆した。つまり、貿易交渉でアメリカの経済的利益を確保するために、台湾の安全保障を犠牲にする可能性があるということだ。

同じ頃、トランプはドイツのフリードリヒ・メルツ首相がイラン戦争への協力を拒んだことへの報復として、ドイツ駐留米軍5000人を撤退させると発表した。この撤退については、欧州の安全保障にはほとんど影響を及ぼさないと指摘する声もある。ドイツには依然として約3万人の米兵が駐留し、米軍最大級の基地群も残る。

しかし、問題は数ではない。同盟国を安心させ、敵対国を抑止するのは、アメリカの力の誇示と関与の意思表示だ。ドイツとの例のように敵対的な政治的圧力としての撤退は、他のNATO加盟国には身震いする出来事であり、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとってはほくそ笑むような事態だ。

ところが、アメリカは関与の意思についても驚くべき動きを見せた。ピート・ヘグセス米国防長官がNATO本部に派遣した特使を通じて、アメリカが欧州有事の際に投入すると約束してきた戦力を大幅に削減すると通告したのだ。米政府当局者は、欧州諸国は自国防衛のための支出を増やすべきだと主張し、この決定を正当化した。

だが、ここで2点指摘しておきたい。第1に、欧州諸国は既に防衛費を増額している。トランプからの圧力や、ウクライナ戦争への危機感からだ。

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【note限定公開記事】欧州がアメリカから距離を置き、プーチンがほくそ笑む日がついに来た

 

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