6月相場での強さも追い風に
そんな味の素は、「6月相場に比較的強い」という傾向(アノマリー)があることでも知られています。過去10年の6月の月間騰落率は8勝2敗という好成績(日経平均株価は7勝3敗)。その背景には、5月に行われる決算発表があります。
好決算を評価した機関投資家の追加買いやインデックスファンドのリバランス買い、長期投資家による配当再投資、NISAを通じた個人マネーといった買いが入る一方、機関投資家は6月の株主総会に向けて売り控えます。こうしたことから、外部環境のショックがない限り、毎年6月に好サイクルが生まれているのです。
市場全体としても、「セル・イン・メイ(5月に売れ)」の相場格言どおりに利益確定の売りが出た後、6月にかけては再び次のテーマを探し始める時期。そのとき注目されやすいのが、「業績の安定感」と「成長テーマ」を兼ね備えた銘柄です。
食品事業によるディフェンシブ性を持ちながら、AIという強いテーマ性もある味の素は、値動きの荒いAI銘柄が増える中で、「比較的安定感のあるAI関連」という位置付けで捉えられることから、今年の6月相場では大きな魅力となりそうです。
味の素の株価は、年初の3000円台から5月には一時5700円台まで70%以上も上昇するなど、強いトレンドを形成しています。6月に強い季節性への期待もあり、押し目では買いが入りやすい地合いが続きそうです。

■ナフサや中国も投資リスクになり得る
気をつけたいのはAI投資の減速です。現在のABF需要は、生成AI向けデータセンター投資の拡大に支えられています。もしAI投資ブームが想定以上に鈍化すれば、市場の期待も修正される可能性があります。
また、中東情勢によるナフサ価格の上昇は、食品事業には逆風です。ABFは経済安全保障とも関わる分野だけに、中国を巡る地政学リスクにも注意が必要でしょう。