Promit Mukherjee David Ljunggren
[オタワ 28日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)は28日、年次金融安定報告書を公表し、カナダの金融システムは健全な状態にあるものの、非常に不安定な経済・地政学的環境の中で脆弱性が高まっていると指摘した。
キャロリン・ロジャーズ上級副総裁は「カナダの金融システムは、ショックに耐えうる十分な態勢を維持しているというのが、われわれの全体的な見解だ。しかし、システムの一部では脆弱性が増大している」と述べた。
カナダ経済は1年以上にわたり、トランプ米大統領による一連の関税措置の影響を受け、雇用市場や主要産業の生産が混乱し、経済成長が阻害されている。
ロジャーズ氏によると、株式市場の過大評価、企業債務の増加、ヘッジファンドによる国債購入のための借入額の増加などが脆弱性の一部だという。これらのリスクは個別に管理できるものの、ますます不安定化する経済・地政学的環境は問題を引き起こす可能性がある。ロジャーズ氏は「新たなショック、あるいは複数のショックが同時に発生した場合、複数の脆弱性が顕在化する可能性が高まった。一連の出来事が連鎖的に発生すれば、投資家の信頼が急激に低下し、流動性需要の急増や資産の急速な売却につながる可能性がある」と警戒感を示した。
自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の見直しが迫っていることや、イラン戦争による原油価格の急騰は、経済に大きな打撃を与える可能性がある。
昨年の報告書の中で、マックレム総裁は、米国との貿易戦争が長期化すれば、家計や企業の債務返済能力が低下する可能性があると指摘していた。これについてロジャーズ氏は「今のところ、影響はわれわれが懸念していたほど広範囲には及んでいない」と述べた。
また、トニ・グラベル副総裁は、カナダの家計の債務残高は増加しているものの、債務返済が滞っている借り手の割合は安定していると述べた。昨年指摘された主要なリスクである住宅ローン借り換え率の上昇は、27年後半までに完全に収束すると予想しており、企業の財務状況も概ね安定しているとした。
国内銀行システムの大半を占める大手銀行は、収益性と資本バッファーが向上したと報告しており、これは健全な財務状況を反映している。
報告書は通常、マックレム総裁が発表するが、この日は緊急の私用で不在だった。