Tamiyuki Kihara
[東京 28日 ロイター] - 高市早苗首相とフィリピンのマルコス大統領が28日、東京・元赤坂の迎賓館で会談し、両国関係を「包括的・戦略的パートナーシップ」に格上げすることなどを盛り込んだ共同声明を発出した。会談後の共同記者発表で両首脳は、軍事情報を安全に共有するための「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」締結に向け、正式に交渉を始めることも明らかにした。長引く中東情勢の悪化を受け、フィリピンや東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるエネルギー備蓄・供給強靱化に関する日本の協力についても合意した。
マルコス氏は国賓として来日した。フィリピン大統領の国賓訪日は2015年のアキノ大統領以来となる。同国は今年、ASEAN議長国でもあり、日本は自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の実現に向けても連携を深めたい考えだ。安全保障や経済など幅広い分野での関係深化を図ることで、東・南シナ海で軍事的威圧を強める中国に対抗する狙いもある。
共同記者発表で高市氏は「厳しさを増す地域の戦略的環境に対処すべく、今後もフィリピンとの協力を深化させていく」と述べた。マルコス氏は「インド太平洋地域で現在生じている課題、中東情勢とエネルギー安全保障への影響を含む地域・国際問題についても有意義な意見交換を行った」とし、「今回の充実した会談は、平和・外交・国際法の順守という共通の価値観と友情を基盤として、フィリピンと日本の包括的・戦略的パートナーシップが力強く前進していくことを示すものだ」と語った。
安全保障面でも両国は関係を深めている。日本は4月、防衛装備移転三原則の運用指針を改定し、殺傷能力のある装備品の輸出を解禁した。フィリピンに対しては海上自衛隊のあぶくま型護衛艦などの輸出を念頭に防衛当局間の協議が進んでいる。今回の首脳会談を経て、両国は協議を加速化させる。
加えて、両国はエネルギー備蓄について、日本からフィリピンなどへの技術提供も進める。高市氏が主導して4月に東南アジア諸国などと合意した「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ」(パワー・アジア)のもと、エネルギー供給や原油・石油製品などの相互融通についても協力強化を目指す。
このほか、両国は二重課税を回避するための新たな租税条約に署名。日本とASEANの包括的経済連携協定をアップグレードするための改正の検討開始でも合意した。高市氏は「マルコス大統領とともに2国間の連携をさらに発展していく」と発言を締めくくった。
(鬼原民幸 編集:石田仁志)