Takahiko Wada

[東京 27日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は27日、過去の原油価格上昇局面を振り返った上で、同じ原油価格上昇でも「賃金、期待、需要や為替レートに依存して非常に異なる影響をもたらし得る」と指摘した。米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃に端を発する今回の原油価格高騰を過去50年で「5つ目の原油価格ショック」と位置付けたが、政策を検討する上での賃金・物価・為替などの状況や現在の局面での望ましい政策対応には言及しなかった。

日銀金融研究所主催の国際コンファランスの開会あいさつで述べた。

植田総裁は1973年後半に起きた第1次オイルショックでの政策対応について、重要な点は「引き締めが行われたのが、高インフレのメカニズムがすでに形成された後であったこと」だと指摘。「20%近くの物価上昇率が生じたことから、引き締めの度合いは明らかに不十分だった」と述べた。

一方で、79年から80年ごろに生じた第2次オイルショックでは、物価上昇率は極めて穏やかな水準にとどまったが、その背景として、金融政策がより迅速に対応したことに加え、物価上昇率がより低く賃金を巡る動きも「より抑制的だった」ほか、ショックの前に為替が大幅に円高に振れていたことなどを挙げた。

前回の利上げ局面に当たる2000年代半ばも原油価格は大きく上昇したが、日本はデフレ均衡に陥っており、賃金や期待の持続的な改善につながらず、「基調的な物価上昇率はほとんど動かなかった」とした。

近年では、22年のロシアによるウクライナ侵攻で商品市況が高騰し、為替も円安に振れた。植田総裁は「継続的かつ明確な物価上昇」が賃金も物価も動かない「ノルム」(社会的な規範)を弱めたと述べた。

ただ、近年の価格上昇は「2000年代半ばの原油価格上昇時の経験よりもより持続的なものになった」ものの、70年代前半のような賃金・物価スパイラルは起きておらず、中長期的な予想物価上昇率も、長期的に陥っていたゼロ近傍から1.5―2%台へと「緩やかに上方シフトしたのみ」だと話した。

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