たとえロシアと中国の首脳が頂上会談を開いても、そこには(やはり)アメリカの大きな影が差していた。
2000年5月にロシア大統領となったウラジーミル・プーチンと、13年3月に国家主席となった中国の習近平(シー・チンピン)が5月20日に、北京の人民大会堂で会談した。1週間前には同じ場所に、ドナルド・トランプ米大統領がいた。2週続けて超大国の首脳を迎えた習が、自分と自国の「威光」を強く意識していたのは間違いない。
「今は一国主義と覇権主義が横行し、混沌が国際社会を覆っている」。ロシア側の発表した公式文書によれば、習はそう語っていた。名指しこそしていないが、アメリカへの言及であることは明らかだ。
アメリカの核政策を無責任と非難しつつ、中ロ両国は戦略的な協力を深め、「公正で賢いグローバルな統治システム」の構築に努めねばならないとも習は言った。
今回は人的交流の拡大を目指す20件以上の合意がまとまったとされる。これには訪中するロシア人へのビザ免除措置の延長なども含まれる。
ただしプーチンが喉から手が出るほど望んでいたパイプライン「シベリアの力2」についての最終合意には至らなかった。ロシアから中国に天然ガスを供給する2本目のパイプラインで、これができれば低迷するロシア経済にとっては貴重な外貨収入源になるはずだった。
「中国はロシア経済への協力を惜しまない」と言ったのはイギリスのシンクタンク「王立防衛安全保障研究所」で国際安全保障を担当するアナリストのカラム・フレイザー。「しかし、このパイプラインがひたすらロシアを利するものであることも理解している。中国は既に十分な天然ガス供給を確保しているし、再生可能エネルギーへの転換も進めているからだ」
トランプもプーチンも同じ国賓待遇で、子供たちによる盛大な歓迎式典もあった。しかし中国側の対応には明らかな違いがあった。
同じ国賓でも待遇に違い
そもそも先に迎えたのはトランプで、プーチンを迎えたのは翌週だった。北京を舞台とする首脳外交ウイークの主役がトランプだったことは明らかだ。プーチンは1日で帰ったが、トランプは3日もいた。党と政府の中枢施設が集まる「中南海」にも招かれた。トランプの日程には2日目の晩餐会や3日目の茶会と昼食会も含まれていた。
儀礼面でも違いがあった。トランプを空港で出迎えたのは国家副主席の韓正(ハン・チョン)で、プーチンを出迎えたのは外相の王毅(ワン・イー)だった。肩書からすれば韓のほうが上だ。
ただしプーチン訪中を大々的に伝えた政府寄りのロシア誌「論拠と事実」の評価は違う。同誌に言わせると、確かに王の公的な序列は韓より低いが、王は中国共産党の最高意思決定機関である政治局の現職メンバーで、中国政界では韓より大きな影響力を持つ(ちなみにロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は「大事なのは儀礼ではなく中身だ」とコメントしている)。
両首脳が発したメッセージにも違いが見られた。トランプが取引成立の可能性を強調したのに対して、プーチンの発言は「戦略的パートナーシップ」や協調、エネルギー面のつながりに重点を置いたものだった。
さらに、同行した財界の代表団の顔触れも異なった。
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【note限定公開記事】プーチンをあしらう習近平の新世界秩序 ロシアは「弟」に格下げ?
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