『精神科医おどおど日記』

自分の中に無意識のうちに、「精神科病院は恐ろしい所」という偏見が根づいていたのかもしれない――。

『精神科医おどおど日記』(駒木 爽・著、発行:三五館シンシャ/発売:フォレスト出版)を読んでそう感じた。

著者は、関東地方X県にある精神科救急病院に10年以上勤務しているという40代の精神科医。かつては外科医で、その頃は精神科を“死から最も遠い診療科”だと考えていたという。

ところがそれは思い違いで、本書も、2週間前に退院したばかりだった双極性障害の患者の自死が伝えられる場面からスタートする。

 精神科医は診療を通して、患者の生い立ちや家族関係、その歴史を知りつくす。そうして深く関わった患者が、一瞬にして命を絶ち、築き上げてきた関係が寸断される。その中にはいくつかの「自分がなんとかできた」死がある。後悔は何年にもわたって続く。(「まえがき――悪い知らせ」より)

しかも著者の勤める精神科病院は、重症患者の入院施設――閉鎖病棟を併設している。となると、いかにも重苦しい内容であるように思われるかもしれない。だが、必ずしもそうとは言い切れないところがあるのも事実だ。

さまざまな患者とのやりとりを中心に“精神科のきれいごとでは済まされないリアル”が描かれているのだが、それは時に生々しく、人間的で親しみやすく、ユーモラスでもあるのだ。

そもそも著者は患者を異常な存在だとは考えておらず、むしろ各人の個性を認めたうえで、時に好意的に受け入れながら、精神科医としてするべきことをしているように見える。

印象的だった場面の1つは、初老の母親に付き添われて訪れた30代の西田涼子さん(仮名)との会話だ。彼女は霊を感じる人である。

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