<米・ナイジェリア軍によるIS幹部殺害は、アフリカがテロの主戦場となった現実を示した。だが、その裏には地元の武装勢力がISの看板を借りる「フランチャイズ化」と、国際支援を巡る複雑な政治力学が存在する>

米軍とナイジェリア軍の共同作戦により、過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者の一人が殺害された。

トランプ大統領がSNSで発表したもので、殺害されたのはISのナンバー2とされるアブ・ビラル・アル・ミヌキである。作戦はトランプ大統領の指示により実施され、ナイジェリア東部のチャド湖盆地にあるミヌキの拠点を空爆などを交えて緻密に急襲したという。

この作戦でミヌキのほか、複数の部下も死亡したが、米軍やナイジェリア軍に損害はなかった。ナイジェリアのボラ・ティヌブ大統領もこの作戦の成功とミヌキの死亡を確認している。ミヌキはISの組織運営や資金調達を担う重要人物であり、米権益を狙ったテロ攻撃を画策していたとされる。

現地軍関係者は、今回の成果を2015年以降で最も重要な対テロ作戦の勝利であると評価した。専門家の間では、ミヌキが実際にナンバー2の立場だったかについて議論があるものの、今回の殺害が地域のテロネットワークを弱体化させたことは間違いないとされる。

かつてシリアとイラクで英国の国土に匹敵する面積を実効支配し、一方的な国家樹立を宣言したISの全盛期の姿は、現在の中東においては見る影もない。IS中枢が大規模な軍事作戦によって弱体化した一方、近年のISのエピセンター(震源地)がアフリカ・サヘル地帯であることは周知の事実となっている。

今回のナイジェリア東部チャド湖盆地における作戦成功は、まさにこの地域が新たなテロの主戦場となっていることを明確に物語っている。一方、ここでは国際テロ情勢を理解する上での1つのロジックを解説したい。

アフリカで長年続くテロの「フランチャイズ化」
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