イスラエル土地庁がエルサレム南部のキブツ・ラマト・ラヘル付近で新住宅地区建設に先立つ発掘調査を行っていた際、古代のものとみられる巨大なトンネルが発見された。イスラエル考古学庁が明らかにした。

【動画】エルサレムの地下で発見された「謎の巨大トンネル」

トンネルは長さ約50メートル、高さ最大約5メートル、幅約3メートルに達する。発掘担当者は当初、自然のカルスト空洞かと考えたが、調査が進むにつれて、人の手で丁寧に掘られた長い通路であることが分かったという。

年代を決める決定的な遺物は見つかっていない。イスラエル考古学庁の発掘共同責任者の一人、ジノビ・マツケビッチは、現地オンラインメディアの『タイムズ・オブ・イスラエル』に対し「20世紀の複雑な歴史に関連した近代的な建造物である可能性も検討した」としつつも、トンネルの中の膨大な資材などから「近代的な建造物ではない」とした。そして、おそらく少なくとも2000年前、ローマ時代に建設されたものだとした上で、それよりも古い時代に建設された可能性が高いが、確証はないと語った。

用途についても、調査が行われている。古代の水利施設、農業用や工業用の地下施設などの可能性も検討されたが、いずれも可能性は低いとされている。

現時点で有力なのは、建築石材や石灰生産に向いた白亜質の層へ到達するための採石用トンネルという説だ。天井に掘られた換気用とみられる縦穴や、床面の採石くずがその根拠とされている。

マツケビッチは鉄器時代(紀元前1200年~紀元前586年)からイスラム時代(7~11世紀)にかけての集落跡が確認されているテル・ラマト・ラヘルなどの古代遺跡が洞窟から西へわずか500メートルほどしか離れていないことを指摘。そのうえで、「鉄器時代とローマ時代の多くの古代行政施設には、大量の石が必要だった。私たちの推測では、このトンネルは採石場だったと思われる」との考えを示した。ただ、この説も確証を得るには至っていない。

今後、トンネルの全容把握と年代の特定が進められていくことになるだろう。崩落した部分があり確認が進んでいない区間があるため、トンネルの全貌は未だ明らかになっていない。

『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』 ニューズウィーク日本版独占試写会 90組180名様ご招待
『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』 ニューズウィーク日本版独占試写会 90組180名様ご招待
PR
【関連記事】
ニューズウィーク日本版 米中の興亡
2026年5月26日号(5月19日発売)は「米中の興亡」特集。

首脳会談で合意した「建設的戦略安定関係」で優位に立つのは、アメリカか、中国か

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます