高市早苗首相は6月の金融政策決定会合に向け、日銀との難しい対話を求められそうだ。 ベセント米財務長官が政策金利引き上げへの期待感を示したことで利上げ観測が高まる一方、長期化する中東情勢の悪化による物価高が高市氏を補正予算編成へと駆り立てている。金融引き締めと財政出動という相反する2枚のカードを前に政府内の針路は定まらず、専門家の見方も分かれている。

秘密保持が徹底される12日の会談

「植田氏は優れた中央銀行総裁だ。必要なことを行う余地が与えられれば、優れた金融政策を実現すると確信している」。ベセント氏は訪問先のフランスで19日、ロイターとの単独インタビューに応じ、こう語った。かねてから「日銀に利上げを求める考えを持ち続けている」(日本政府関係者)とされるベセント氏のこうした発言は、改めて早期利上げを植田氏に求めたものだと受け止められている。

布石はあった。今月11日に来日したベセント氏は翌12日、首相官邸で高市氏と会談。内容は秘密保持が徹底されているが、直後から政府関係者の間には「ベセント氏が直接的に高市氏に利上げを要求した」との見方が広がった。事実であれば、これまで利上げに対して後ろ向きだとされてきた高市氏の姿勢に変化が生まれるきっかけにもなり得る。

木原稔官房長官は20日午前の記者会見で「議論の具体的な内容は外交上のやり取りそのものなのでコメントは差し控える」と述べた。事情に詳しい政府関係者は、植田氏が利上げの必要性を感じているとの認識を示した上で、ベセント氏の発言は「日銀にとっては渡りに船だ」と語った。

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先行き不透明な政府の財政政策