太平洋に面したアメリカ西海岸で、死んだコククジラの漂着が記録的な数に達している。この春はワシントン州で16頭、オレゴン州でも数頭の死骸が見つかった。

専門家は、北極圏で食物連鎖が崩壊し、海洋環境が悪化した影響を指摘している。

クジラたちはメキシコ西部のバハカリフォルニア半島沖から北極圏へ回遊する途中、中間地点にも到達しないうちに、蓄えた脂肪を使い果たしていた。

「ワシントン州に漂着したクジラは4月を通じて異常に多かった」。海洋哺乳類研究団体のカスケディア・リサーチ・コレクティブはFacebookにそう書き込み、「座礁シーズンは始まったばかり。これからもっと増えるだろう」と予想した。

研究者によると、東部北太平洋コククジラの個体数は何年も前から減少傾向が続いている。チヌーク・オブザーバー紙によると、2019年から2023年にかけては約2万7000頭から約1万3000頭へと激減し、アメリカ政府が異常死亡事象(UME)と認定した。2024年には安定化の兆しが見えたものの、この春の漂着の多さは、コククジラが依然として脆弱な状態にある現実を見せつけた。

クジラの漂着は海洋生態系の不安定さが増している表れだと研究者は言う。哺乳類の中でも特に移動距離が長いクジラは、夏の間に北極圏で餌を採って蓄えた脂肪のみに頼って回遊する。しかし今年はまだその旅の半分も終えないうちに、脂肪の蓄えが尽きてしまった個体が多かったと思われる。

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死骸の漂着が増えた原因
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