[ロンドン 18日 ロイター] - 日米欧の先進7カ国(G7)の政府債務残高はここ数年間で急増し、人口の高齢化から気候変動や防衛費に至るまで絶えず増加する歳出需要がさらにそうした圧力を高めている。
イラン戦争がそこに加わり、インフレリスクを再燃させた。この20年間だけで数々のショックに見舞われてきた各国政府をさらに追い詰めることになるだろう。
紛争終結の兆しが見えない状況で、トレーダーたちが中央銀行の利上げを見込み、長長期国債の利回りが上昇し続けており、そうした圧力は高まっている。
30年物米国債の利回りは5%を超え、18日は1年ぶりの高値を付けた。また、10年物日本国債利回りは30年ぶりの高水準に達した。
政府により多くのコストがかかる重い債務負担は歳出を制約し経済成長を抑制することで国民の生活水準を脅かすリスクがある。
このライブ・ダッシュボードはG7先進国全体の政府債務に関する主要な指標を追跡している。
<上昇する国債利回り>
G7各国の国債利回りは新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)やロシアのウクライナ侵攻後に急騰した。中央銀行が急上昇するインフレを抑え込もうと、積極的に利上げしたためだ。
長期国債の利回りの高止まりは、投資家がその国の国債を保有するリスクを埋め合わせるためにより高い投資収益を求めている状況も反映している。
イラン戦争はそうした最も新しい試練となっている。英国は政治的な不確実性が痛みを増幅させているため、G7の中で最も高い利回りを支払わされており30年物国債の利回りが先週28年ぶりの高水準に達した。
<国債発行の短期化>
短期国債と長期国債のスプレッドは急激に拡大しており、より長期間の資金調達コストが相対的に割高となっている。
こうした圧力は各国の財政懸念や、中央銀行の保有国債縮小、保険会社や年金基金のような伝統的な長期債の大口投資家が日本から英国まで購入を減らしているため一段と高まっている。
多くの政府はそうした影響を和らげるためより償還期間が短い国債を売り出し始めた。しかし、それはまたリスクを伴う。債務をより早く償還するか、あるいは借り換えするかしなければならないため、利回りが上昇すれば影響がより迅速に政府の利払いコストに波及するからだ。
<一方通行の道?>
欧州最大の経済国であるドイツを除いて、G7諸国の政府債務残高は各国の国内総生産(GDP)とほぼ同等かそれを上回る水準にある。
2008年の世界金融危機、11―12年のユーロ圏債務危機、20年のパンデミックは全て債務水準を急激に押し上げ経済成長を損ない歳出を膨らませた。
日本は最も深刻な水準にあり、債務残高がGDPの2倍を超えている。一方で、かつて緊縮財政の擁護者だったドイツでさえも国債発行を急速に拡大させている。
長期的に人口の高齢化、利払い費、防衛や気候変動に対する歳出増加のために、政策転換を実行しない限り債務水準は一段と上昇するだろう。
<利払い費>
パンデミック後に上昇した利回りは各国政府がかつて低コストで借り入れた債務を金利が上昇した現在の市場で借り換えるにつれて利払い負担に影響が及んでいる。
GDPに占める利払い費の割合は多くの国で過去のピーク時に比べればかなり低いが、ほとんどのG7諸国でここ最近は一貫して上昇しており、特に米国でその傾向が著しい。
経済協力開発機構(OECD)加盟国全体の利払い費の総額は実際、既に24年の時点で防衛費の総額を上回っている。
<高まるリスク>
投資家が長期国債を保有するリスクに対してどれだけの上乗せ金利を求めるのかを示す重要な指標であるターム・プレミアムは米国債でパンデミック以降上昇している。
そうした状況は米国の財政政策懸念から米連邦準備理事会(FRB)の国債保有量の縮小、FRBの独立性を巡る不安、長期的なインフレの不確実性まであらゆる要素を反映している。
それは世界的な現象となっている。OECDの最近の調査によると、主要加盟国全体のターム・プレミアムは過去10年以上で最高水準に達している。
<格差に注意>
もしも改善した債務指標が一つあるとすれば、それは欧州で最も安全な借り手とされるドイツの国債より、むしろユーロ圏各国の国債を保有する際に投資家が求める利回り格差がいかに小さくなっているかという点だ。
ユーロ圏はギリシャが救済を必要としユーロ圏崩壊のリスクがこうした国の国債利回りを急騰させた債務危機から大きく進歩した。
イタリアを見てほしい。かつては債務問題の象徴的存在だったが、パンデミック後に強まった欧州の結束、政治的な安定、財政赤字の縮小によって、イタリア国債のリスクプレミアムは2008年以来の最低水準まで縮小した。
これとは対照的に、投資家は現在、フランス国債を保有することより大きなリスクを感じている。フランスの政治情勢が24年の選挙以来分断されたため財政赤字を抑制する取り組みが遅れているためだ。
<買い手は警戒を>
先進国の中で最も重い債務を抱える日本が注目の的となっている。高市早苗首相の歳出計画が、財政懸念を再燃させているためだ。
日本の国債市場は昨年5月、破滅的な長期国債の入札をきっかけに苦境に陥った。国債の入札では、市場が拒絶反応している兆候がないかが注意深く見守られている。
当時は20年物国債の入札が12年以来の最低水準となる応札倍率となり、投資家心理を示す別の指標は少なくとも1987年以降で2番目の最低水準まで悪化。このため、長期国債の利回りは記録的な水準に急騰した。
日本政府は対策として長期国債の発行額を縮小し、需要の安定化を図った。しかし、10年債利回りは5月18日に96年以来の高水準まで急騰し、国債市場に対する圧力が再び高まっている。