言論空間の適正を保つにはどのような規制があり得るか
とはいえ何らかの歯止めは必要だ。「永田町の常識は世間の非常識」と言われるが、国民が政治に期待する良識と実態があまりに乖離すると政治不信が広がり、日本政治の脆弱化を期する外国勢力の介入を招きかねない。16年米大統領選や24年ルーマニア大統領選で取り沙汰されたロシアの選挙介入は、ステマ的影響工作を用いていた。
政治的言論の内容規制に踏み込まず、言論空間の適正を保つにはどのような規制があり得るか。
一例として、著作権侵害に着目する制度設計があるだろう。政治系SNS動画の多くは、対象とする政治家の演説動画や写真を切り取っている。作成者自身が撮影したものもあるが、国会中継や報道番組の映像の流用も多い。
しかし国会中継の映像は衆議院・参議院がそれぞれ著作権を有しており、議員本人が自身のSNSで利用する場合でも、衆参両事務局に事前申請する必要がある。
報道機関にも提供されるが、政治的公平性の遵守、院の権威または議員の名誉を傷つける取り扱いをしないこと、第三者への無断提供禁止の条件が課され、番組内の動画は各メディアの著作物となる。
そうした著作権者の承諾を得ていない、または正当な引用の範囲を超えて切り抜いた政治系SNS動画は、著作権法違反の疑義が解消されるまではプラットフォーマーが報酬の支払いを止める。このような制度の導入は検討に値するだろう。