キア・スターマー英首相が、与党・労働党内からの退陣要求に直面している。5月7日に行われた地方選で労働党が大敗したことで、辞任を求める声が強まってきた。

2024年7月の総選挙で労働党は定数650の下院で411議席を獲得した。だが、その後2年足らずで状況は一変。スターマーは経済問題や政策運営の失敗によって、党の支持率を急落させたとして批判を浴びている。

「彼は強い首相ではない」と語るのは、英広告会社ビー・ブロードキャストPRの創業者で政治広報の専門家であるジョシュ・ウィーラーだ。「辞任をめぐる議論が公然と始まれば、もう終わりだろう。首相としての権威は大きく損なわれる」

次の総選挙は29年までに実施されるが、イギリスでは与党内の手続きだけで首相を交代できる。スターマーに対しては、既に党首選実施に必要な80人を超える同僚議員が辞任を要求している。

背景にあるのは、ナイジェル・ファラージ率いる右派ポピュリスト政党「リフォームUK」の躍進だ。7日の地方選で、労働党は計1400議席以上を失った。一方でリフォームUKは、1450議席以上を獲得。労働党の牙城とされるイングランド北部で大躍進を遂げたほか、保守党の地盤でも支持を拡大した。

有権者の不満は、今回の地方選以前から積み重なっていた。スターマーは就任当初、年金生活者向け冬季暖房費の補助を所得制限付きの制度に切り替えると発表して強い反発に遭い、後に撤回に追い込まれた。障害者や傷病者を対象とした給付金の削減を試みた際にも、党内の造反議員に阻止されたことがある。生活水準の停滞も深刻で、政権への逆風は強まるばかりだ。

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「現代では前例がない」生活水準の停滞
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