入居者の個室は小さくて、2.5畳しかない。部屋の中にはベッドがないけれど、エアコンと小型テレビがあるという。
見学が終わると、施設長は何枚もの契約書を持ってきて、宇海くんに言った。
「施設の紹介を聞き、生活現場を見た上で、入居に同意するなら、この契約書に署名してください」
宇海くんはためらうことなく署名した。最後に施設長は、双方が署名した契約書と、一枚の本施設の「生活規則」を宇海くんに渡した。
これ以後、彼はこの建物の(たとえ短期間であっても)合法的な居住者となり、かつての「国有地を不法に占拠する者」とは呼ばれなくなる。これは喜ばしい変化であり、新しい生活への第一歩を踏み出したと言えるだろう。
宇海くんはそこからまた離れ、アパートに移った
日本の施設にはさまざまな種類があるが、宇海くんが入ったこの施設は「日常生活支援住居施設」で、その上位機関は、ある特定非営利活動法人である。
彼らの掲げるスローガンは、〝わたし達は、まず「家がない」「失業した」「生活に困っている」こうしたお悩みについてサポートし、あらゆる方の多様性を受け入れ、共存を目指す〞というものだ。
施設の現在の入居者状況を見ると、確かに多様性が見られる。例えば、全員が貧困者であるが、失業後に家賃が払えず大家に追い出された人、長年ホームレスをしていたが病気になりアルミ缶を売って生活できなくなった人、刑務所から出てきたばかりで仕事や住まいが見つからない人などさまざまである。
入居者の年齢もバラバラで、20代から70代までの幅があり、その中で50〜60歳の人が最も多く、全体の半数以上を占めている。ただし、多様ではない点もあり、全員が男性で女性は一人もいない。