挫折から学んだこと
挫折から学んだこともある。例えば70年代に活躍した黒人野球選手で、同性愛ゆえに球界を追われたグレン・バークの物語。カーティスはその映画化権を持っていたが、結局諦めた。
「そもそも私みたいのが手がけるべきストーリーじゃない」と気付いたからだ。そう、自分が何を語るべきかを知ることは、その物語をどう語るべきかを学ぶのと同じくらい大切なことだ。
実際、彼女が選ぶ物語には大きな共通点がある。始まりは人で、企画は後からついてくるという点だ。『ロスト・バス』には山火事から児童を救った運転手がいた。『スカーペッタ』には「検屍官」シリーズの映像化を待つ愛読者がいた。「私には語りたい物語がある」と彼女は言った。
「でも一番大事で、一番に私を泣かせるのは人なの」
今回のSXSWで最も注目を集めた文化的事象にも、カーティスは言及した。AI(人工知能)だ。
映画の世界では便利なツールとも脅威とも、あるいは避け難い現実とも捉えられているAIだが、彼女は率直に言った。「あれはあなたのことなんて気にしない。絶対にね。あなたが死んでも、AIは泣かない」
彼女にとっては、AIの問題もテクノロジーではなく、人間の話なのだ。
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