「責任ある積極財政」を実現するために

よく知られているとおり、外為特会(外国為替資金特別会計)で保有する米国債などの平均取得ドル円レートは100円前後と推測され、160円付近でのドル資産売却によって単純計算で差益は約38%、10兆円規模のドル売り介入で、4兆円規模の為替差益が生まれる。

外為特会においては、米国債売りと同時にFB(政府短期証券)の償還が行われるため、米国債売却によって発生する為替利益は、そのまま一般会計には計上されない。

ただ、かなりの規模に膨らんだ外為特会のあり方が国会においても議論されてきた中で、50兆円に拡大している為替差益のうち数兆円分を一般会計に繰り入れる対応は、実現可能性が高い政策手段になる。

高市政権は、消費減税を実現しながら、防衛費など政府歳出を増やす方針を明確にしているが、その手段として、蓄積された政府資産を適切な規模に是正する中で財政政策を拡張方向に作用させることが可能になる。

つまり、高市政権にとって最優先の経済政策は選挙公約である消費減税などの「責任ある積極財政」であり、これを実現するために外為特会で積み上がった資産を利用する一つの契機として、今回のドル売り介入が行われたと位置づけられるということだ。

今回の為替介入は、通貨安定化だけではなく、膨らんだ政府資産を有効利用することで拡張的な財政政策を後押しする目的があるという意味で、二面性が存在することになる。

今回の政府による為替介入に対して、メディアでは批判的な論調が目立つが、金融市場の反応は概ね冷静である。日本株市場においては、日経平均株価は6万円の大台を超え、最高値の更新が続いている。米国を含めて需要拡大が期待される半導体関連銘柄を中心に株高が続いている。

日経平均株価6万円台は「バブル」なのか
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