Marwa Rashad Ahmed Rasheed
[ロンドン/バグダッド 12日 ロイター] - 事情に詳しい5人の関係筋によると、イラクとパキスタンはペルシャ湾からの原油と液化天然ガス(LNG)の出荷についてイランと合意した。イランはホルムズ海峡を通じたエネルギー出荷の流れを管理する能力を示そうとしている。
米国とイスラエルのイランに対するとの戦闘によって、通常は世界の原油とLNGの20%を供給するこの地域からのエネルギー輸出が激減している。米国はここ数週間、イランの港を封鎖してきた。オックスフォード・エネルギー研究所のクラウディオ・シュトイアー氏は「イランはホルムズに関して封鎖からアクセスの管理に方針転換した。ホルムズはもはや中立的な通過ルートでなく管理された回廊となっている」と述べた。
イラクは原油輸出の大部分を通常この海峡を通じて出荷しているため封鎖によって最も深刻な影響を受けた産油国の一つだ。一方、紛争の仲裁を試みたパキスタンはペルシャ湾からのエネルギー輸入に大きく依存し燃料コストの急騰に直面していた。
これまで報じられていなかったイラクとイランの合意によって、イラクはそれぞれ約200万バレルの原油を積載した2隻の超大型原油タンカーの安全な航行を確保し、2隻が10日に海峡を通過した。
イラクの石油省高官はロイターに対し、イラクが政府予算の95%を占める石油収入を守るために、現在さらなる通航についてイランの承認を得ようと取り組んでいると語った。別のイラク石油省当局者と海運業界関係者もまた、イラン政府と交渉していると認めた。
同様にパキスタンとイランの間で結ばれた別の二国間合意に基づき、カタール産LNGを積んだ2隻のタンカーがパキスタンに向かっている。事情に詳しい2人の業界関係者がロイターに語った。
パキスタンは戦闘が始まる前、月当たり約10回のLNG貨物を受け取っており、現在は夏季の冷房用の電力需要が高まる状況に対応しなければならない。
関係筋によると、イラクもパキスタンも通航に関連してイランやイスラム革命防衛隊(IRGC)に直接支払いをしていないという。
2人の業界関係者によると、カタールはこの二国間合意に直接関与していないが、パキスタンに出荷するのに先立って米国に通知したという。
パキスタンの石油省と情報省はロイターのコメント要請にすぐに応じなかった。カタールの外務省も同様だった。
事情に詳しい複数の関係筋によると、 エネルギーコストの上昇とエネルギー供給の混乱がとりわけアジア経済に重くのしかかる状況で、その他の国々も同様の合意ができないか模索している。
コンサルタント会社MSTマーキーのリサーチ責任者のソール・カボニック氏は「イランと積極的に通航合意を結ぼうとする政府が増える中、イランがホルムズ海峡をこれまでよりも恒久的に支配しようという考え方を常態化させるリスクがある」と述べた。
戦闘が始まる前は月当たり約3000隻の船舶がホルムズ海峡を通過していた。海運データによると、現在の交通量はそのわずか5%程度となっている。
イランは海峡に対する支配を形式化しつつあると業界関係者は話した。イラク石油省の当局者の一人によると、イランはイラクに対して自国の海軍の監視下で指定された航路を通航できるようにタンカーごとに書類を提出するよう求めているという。
イラク石油省の専門チームは不測の事態を避けるため目的地、出荷品の詳細、所有権、積荷の仕様を含むそれぞれの船舶の詳細な情報をイラン当局に提供している。
船舶の通航を巡るイランとの交渉状況を知っているパキスタンの情報筋は、手続きにいくつかの障害があったと語った。「IRGCは時として条件を後出しで変えるため手続きを予定通りに進めるのが難しいが、われわれは一つずつ対処している」と述べた。