谷と同様、今回の魏と李も、執行猶予期間終了後はおそらく無期懲役に減刑されるだろう。2人は、元同僚に関する重要情報を捜査当局に提供するのと引き換えに、判決に執行猶予が付いたとみられる。従って、今後も軍の上級・中級幹部に対する汚職捜査が拡大する可能性が高い。

しかし、中国の軍事法院が重要事件で判決を下す際は、軍最高指揮官である習の承認が必要だ。習はなぜ、魏と李に執行猶予付きとはいえ死刑判決を言い渡すことにしたのか。

まず、汚職や不正に対する強力な抑止効果にあるとみられる。魏と李の事件では巨額の資金が不正流用されて、2人が率いていたロケット軍や装備発展部の能力と業務に悪影響が及んでいた可能性が高い。

しかし、上級幹部を死刑にすれば、軍の士気が低下したり、幹部たちの忠誠心が揺らぎかねない。その点、執行猶予付き死刑判決であれば、恐怖心による服従を促すことができる一方で、政治的なリスクを一定程度抑えることができる。

背景には習が来年秋の中国共産党大会で続投を決め、もう5年間政権を担うことを目指していることがある。当然、軍の掌握は欠かせない。恐怖心をかき立てることは、そのための定番の方策だ。

中国には「君主に仕えるのは虎に仕えるがごとし」ということわざがある。習は以前の側近たちにも躊躇なく、重い刑罰を科している。既に失脚した苗華(ミアオ・ホア)、何衛東(ホー・ウエイトン)、張又侠(チャン・ヨウシア)、劉振立(リウ・チェンリー)といった元中央軍事委員会メンバーたちにも厳しい判決が予想される。

地位の高さは盾にならない
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