Eduardo Baptista

[北京 27日 ロイター] - 中国のディープシークが24日、待望の人工知能(AI)新モデル「V4」のプレビュー版を公開したが、低コストのAIモデルで世界に衝撃を与えた昨年に比べると、市場の反応は控えめなものにとどまっている。市場も産業界も、計算資源の制約の下で開発された低コストかつ高効率なモデルに慣れ、サプライズの要素が薄れたという。

調査会社オムディアのチーフアナリスト、Lian Jye Su氏は「今回の発表はかなり予測可能な道筋をたどった」と述べた。

ベンチマークデータも同氏の指摘を裏付ける。調査会社アーティフィシャル・アナリシスによると、「V4 Pro」は従来バージョンから大幅に改善したものの、オープンウエートモデルの主要な一角という位置付けで、競合モデルを圧倒する存在ではない。月之暗面(ムーンショットAI)の「Kimi」やアリババの「Qwen」といった競合がその差を縮めているためだ。

昨年の衝撃について、アナリストは、複数の要因が重なったことで生じたと指摘する。米ハイテク企業の高いバリュエーション、少数のプレーヤーが優位を維持し続けるとの期待、相対的に知名度の低い中国新興AI企業が予想外の躍進を示したことだ。しかし、そうした条件はもはや存在しない。

「新たなプレイヤーの登場はすでにバリュエーションに織り込まれており、市場はAIの能力と限界についてより現実的になった」とSu氏は指摘した。

中国国内でも競争は激化しており、ディープシークの相対的な優位性を侵食している。

コンサルティング会社アンクラ・チャイナ・アドバイザーズのマネジングディレクター、アルフレド・モントゥファル・エル氏は、V4の重要性は市場へのインパクトよりも、米中のテクノロジー覇権争いにあると語る。

同氏は、米国の半導体関連の対中輸出規制強化を踏まえ、V4が華為技術(ファーウェイ)製半導体で最適に動作するよう適応させた点を評価。

「『驚き』は昨年のことで、既に織り込み済みだ」とした上で、「今重要なのは、中国がAI開発を前進させ続けられるかどうか、そしてそれを自国の半導体で実現できるかどうかだ。その地政学的な含意は大きい」と述べた。

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