この程度の原油高なら世界経済全体への影響は限定的
4月17日にはイランのアッバス・アラグチ外相がホルムズ海峡を開放すると述べたが、その後イラン側がタンカーへの攻撃を行ったことで、ホルムズ海峡の通行は事実上封鎖されたままだ。原油価格(WTI)は依然90ドル台と高止まりしており、4月20日時点で原油などの資源供給は滞ったままである。
こうした中で、前述のとおり、米国株市場がイラン戦争前の水準を超えて上昇している状況に違和感を覚える読者もいるかもしれない。
ただ、「戦争が長期化して世界経済全体が失速する」というシナリオの可能性が低いとの認識を背景とした、いわゆる「リリーフラリー(Relief Rally)」としては自然な値動きである。
株式市場が楽観方向に傾いている部分があるが、トランプ政権が自国の利益を追求するならば、そして一部の論者が懸念していた「泥沼化」を回避するという政治判断が下されるなら、リリーフラリーは十分に正当化できると筆者は考えている。
なぜなら、原油価格は依然として高止まりしているが、この程度の原油高なら米国を中心とした世界経済全体への影響は限定的だからである。
もちろん、原油輸入を中東に頼るアジア諸国にとって、ホルムズ海峡はできるだけ早く正常化するのが望ましい。ただ、エネルギー輸出国の米国にとっては、イランを封じ込める条件交渉を優先させる時間的な余地があり、またイランへの軍事攻撃のオプションを簡単には放棄しないだろう。
このため、米国とイランとの協議が難航するなど、当面緊張関係が続く可能性はあるだろう。ただし、軍事的に優位とみられる米国の意向が通る形で、いずれイラン戦争は終結に向かう、と筆者は引き続き予想している。
リリーフラリーによって、米国株はイラン戦争前に戻った。一方で、米国10年金利は2月下旬には4.0%付近で推移していたが、4月20日時点において4.3%程度で高止まりしており、イラン戦争前の水準まで戻っていない。