Nolan D. McCaskill
[ワシントン 18日 ロイター] - 米共和党と民主党は、バージニア州が11月に行われる中間選挙で新しい連邦下院選の選挙区割りを採用するべきかどうかを巡り激しく対立している。21日には同州で採用の是非を問う住民投票が行われるが、賛成多数に持ち込みたい民主党と、否決させたい共和党が激しい広告戦を繰り広げ、双方が広告にバラク・オバマ元大統領を登場させる異例の展開となっている。
住民投票の結果は、どちらの政党が11月の中間選で下院の議席を握るかを決定する上で重要な意味を持つ可能性がある。
オバマ氏はかつて、ゲリマンダー(自党に有利になる区割り変更)に反対していたが、今回はバージニア州民主党の取り組み支持を打ち出した。この取り組みは州議会が新たな選挙区を設けることを認めており、民主党に連邦下院で4つの追加議席をもたらす可能性がある。
一方の共和党は、有権者に反対票を投じるよう促している。2つの同党系団体がスポンサーとなっているテレビとラジオの広告でオバマ氏の2017年の発言の一場面を利用。オバマ氏はこの中で、ゲリマンダーが政治的な二極化をもたらし、共通の基盤を見つけるのをますます困難にする原因となっていると非難していた。
バージニア州選出の民主党ティム・ケーン上院議員はオバマ氏を中心にした共和党のメッセージ発信について「もしも彼らが絶望的になって心配していなければ、オバマ氏の立場について嘘をつかないだろう」と語った。
有権者を対象とした最近の調査では賛成派がわずかにリードしている。バージニア州選挙管理委員会によると、100万人以上が既に期日前投票を済ませた。
仮にこの修正案が通過すれば新たな選挙区割りは2030年の次回国勢調査後まで維持されることになる。
<四六時中、オバマ氏ばかり>
オバマ氏の発言は、両党のダイレクトメールやラジオコマーシャル、テレビ広告に登場しており、相反するメッセージによって有権者が混乱する可能性がある。
しかし、オバマ氏自身はこの住民投票を支持している。テレビ広告で「共和党は次の中間選挙を操作して議会で十分な議席を盗み取り、さらに2年間にわたってチェック機能のない権力を行使しようと望んでいるが、4月21日までに賛成に投票すれば彼らを止めることができる」と語っている。
一方で、約2000万ドルの資金を集めた共和党主導の委員会「公平な区割りを求めるバージニア州民」と保守系非営利団体「ペル・アスペラ・ポリシー」から約900万ドルの資金提供を受けている団体「民主主義のための正義」は、オバマ氏を利用した広告で反対運動を展開している。
両団体の広告はオバマ氏が17年にシカゴ大学で発言した内容を利用。「私たちの大統領バラク・オバマ氏は党利党略によるゲリマンダーが民主主義にとって誤りだと知っている。彼の言葉に耳を傾けて」との女性ナレーションが「民主主義のための正義」のラジオ広告で語りかけている。
<区割り改定戦争>
バージニア州の連邦下院議員団は現在、民主党6人と共和党5人で構成されている。新たな区割りが採用されれば、連邦レベルで見た民主党寄りのこの州で民主党が10対1という圧倒的な優位に立つことになる。
他州の相次ぐ動きに続いてバージニア州で4議席が追加されれば、民主党がトランプ政権の残り2年間にわたって下院の支配権を手に入れるのに十分な議席数となるだろう。
この区割り改定戦争は昨年、テキサス州で始まった。共和党がトランプ氏の指示で自党に最大5つの追加議席を与えるよう設計された新たな区割りを作成したのだ。カリフォルニア州がこれに対して同様の住民投票を実施しており、民主党がカリフォルニア州で同程度の議席を上積みできる可能性があるだろう。
オハイオ、ミズーリ、ノースカロライナの各州も共和党に一段の恩恵を与えるように区割りを変更しており、フロリダ州も早ければ来週にも新たな区割りの検討に入る見込みだ。
<共和党、民主党の試みを批判>
バージニア州の共和党員は、今回の区割りを不公平な選挙区の引き直しだと批判している。彼らはこの区割りが州の半分から公正な代表権を奪い、連邦政府機関へのアクセスを損なうと主張している。民主党も共和党に有利な選挙区が再設定された他州で同様に主張してきた。
バージニア州選出の共和党ベン・クライン下院議員は「全米レベルの民主党員を動員し目に余る政治的な不当介入を強行しようとする試みは裏目に出るだろう」と語った。「われわれはこれを打ち負かすつもりだ」
オバマ氏の広報担当者はコメントの要請に応じなかったが、オバマ氏は民主党側の広告を通じて自身の立場を強調している。
オバマ氏は「公平な選挙を求めるバージニア州民」のラジオ広告で「チェック機能のない権力と説明責任ゼロの状態をワシントンでさらに2年も続ける余裕はわれわれにない」と語っている。「バージニア州の皆さん、われわれがより良い道を進めるよう力を貸してほしい」