Timothy Aeppel Nicholas P. Brown Christoph Steitz
[17日 ロイター] - トランプ米政権は、連邦最高裁の違憲判決を受けた輸入関税1660億ドルの払い戻し申請の受け付けを20日にも開始する。企業側は還付申請の準備を急ぎ進めているが、当局が構築したシステムは実際の運用面で問題が起こりうると、冷静な見方もしている。
知育玩具などのメーカー、ベーシック・ファンのジェイ・フォアマン最高経営責任者(CEO)は、申請に向けて「準備は万全」としつつ、「何らかの形で手続きを滞らせるようなことが起きないか、心配せざるを得ない」と不安ものぞかせた。
米税関・国境警備取締局(CBP)は14日の裁判所提出書類で、「CAPE」と呼ばれる還付システムの初期開発を完了したと明らかにした。このシステムは、これまで輸入申告ごとに処理していた還付を集約し、該当する案件については利息を含め、輸入業者に電子決済で一括して還付する。
CBPの広報担当者は、「裁判所命令に基づき、関税を支払った輸入業者や通関業者の還付を効率的に処理するためのシステムを構築した」と説明した。
税関当局によると、4月9日時点で約5万6497の輸入業者が電子還付を受けるための手続きを完了し、その金額は約1270億ドルと還付対象総額の4分の3超に達している。裁判資料によると、当該の関税を支払った輸入業者は33万社以上で、当該の輸入貨物は5300万件に上る。
米ウィスコンシン州に本拠を置く大型トラックメーカー、オシュコシュのマット・フィールド最高財務責任者(CFO)は「会社にとって影響の大きい金額だ。私はCFOなので、1ドルたりとも取りこぼしたくない」と述べた。同社はトランプ関税の支払い金額を公表していない。
フィールド氏は、税関のポータルサイトが開設され次第、申請を行う予定だが、当初は「システムが落ち着くのを待つ」可能性もあるという。
ロイターが取材した複数の輸入業者は、新たなシステムの安定性、特に多数の申請が一斉に行われる初期段階での負荷耐性に懸念を示した。
ベーシック・ファンのフォアマン氏は、約700万ドルの還付を申請する予定だ。「テイラー・スウィフトのチケットが発売される時のような騒ぎではない」と冗談めかしつつ、「同時に多くの企業がアクセスすれば、ポータルがクラッシュしないとは言い切れない」と警戒する。
手続き上のトラブルが起こる可能性は少なくない。中国に工場を持つ米系玩具メーカー、ハンターのジェイソン・チャンCEOは、「お金が戻ってくるのはありがたい」としながらも、「政府は手続きを難しくしようとしているように見える」と話す。申請の登録時に銀行口座情報の入力が求められるが、政府はすでに関税支払いのためその情報を把握しているはずで、会社名の表記は完全一致が必要なため、ささいな入力面の食い違いのために登録を5回もやり直す必要があったという。
一方、申請準備を進める企業の間では、トランプ政権が土壇場で法的措置を講じ、手続きが遅れる可能性も懸念されている。税関当局は、関税還付ポータルの設置を命じた国際貿易裁判所の判断について、5月初旬まで控訴することが可能だ。
また、現在のシステムでは、還付を受け取るのが最終消費者ではなく、輸入業者となっている点が政治的な問題になっている。