Leika Kihara
[東京 20日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)のデコス総支配人は、ステーブルコインの利用を巡る国際協力の必要性を改めて訴え、市場の深刻な分断を防ぐために非常に重要だという認識を示した。
「中央銀行の中央銀行」とも呼ばれるBISは、暗号資産(仮想通貨)の一種で通常ドルと連動するステーブルコインに対し、長年にわたり懸念を示してきた。
デコス氏は日本で講演し、ステーブルコインは金融・財政政策を損ない、金融市場にストレスを与え、不正資金対策を阻害する可能性があることから、国際的な協調が「極めて重要」と指摘。
協調がなければ、「管轄区域ごとに異なるステーブルコインの規制枠組みが市場の深刻な分断につながったり、有害な規制裁定(レギュラトリー・アービトラージ)を可能にしたりする恐れがある」と警告した。
規制裁定とは、企業が最も緩やかな規制を持つ国・地域を選んで活動することを指す。
金融安定理事会(FSB)の議長を務めるベイリー・イングランド銀行(英中銀)総裁も先週、ステーブルコインの国際基準を巡る進展が過去1年間で鈍化したと警告した。
デコス氏は、ステーブルコインの「取り付け」は市場のストレスを引き起こす可能性があると改めて指摘した。ただ、ステーブルコインの発行体が預金保険のような仕組みや中銀の貸出制度を利用できれば、そのリスクは「大幅に軽減される」可能性があるとも述べた。
世界で流通する3150億ドルの約85%を占めるの2大ステーブルコインの発行体であるテザーとサークルについて、「通貨というより有価証券」に近い特徴が見られるとし、とりわけ、「償還上の摩擦」が生じる仕組みになっており、額面からの頻繁な乖離につながっているとした。
「この点で、現状では通貨というより上場投資信託(ETF)に近い形で機能している」と述べた。
また、従来の銀行口座と同様にステーブルコインに利息の支払いを認めるべきかどうかという現在議論されている主要な問題についても見解を示した。
デコス氏は「ステーブルコインの保有に利息が付かず、高金利局面など保有の機会費用が高い場合、銀行預金からステーブルコインへの資金シフトは、それほど顕著にならない可能性がある。ステーブルコインへの利払い禁止が実施できる場合もそうだ」と語った。