その渦中で、いくつかのアメリカ抜きの動きが世界に生まれている。カナダのカーニー首相は1月の世界経済フォーラムで、トランプのアメリカは自由・民主の原則から逸脱しているとし、「中堅諸国」の団結を呼びかけた。3月19日にはイギリス主導の下、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、日本の首脳が、ホルムズ海峡に関する共同声明を発表している。

韓国やオーストラリア等も加え、「自由と繁栄の連合」などと銘打ち、事が起きるたびに会合し(オンラインで構わない)声明を発するだけでも、かなりの力となるだろう。日英伊は新型戦闘機の共同開発を既に開始している。このような連携体制、そして具体的な協力案件をいくつも持つことが、中堅国家の力を高める。

日本は戦前のように各自が勝手な思い付きで動くべきではない

ただ、これは安全保障では大した足しにならない。中堅とはいえ、それぞれエゴと私益を持つ国々の集まりで、一筋縄ではまとまらない。しかし今の世界、米中をはじめ「大国」もよれよれ。

ドローンの多用などで、これまでの「軍事力(戦車や航空母艦など)」は意味を失いつつある。青年たちはロシア、ウクライナ、台湾でさえ、兵役を忌避する。米ドルも国際基軸通貨としての地位は揺らいでいるが、それに代わるものが何かは分からない。変化の中で既存の体制が有効でなくなる、不安な時代だ。

いま日本は、戦前のように各自が勝手な思い付きで動いて墓穴を掘るのは厳に戒めるべきだ。一方、能天気な平和主義ではなく、武力は保持し攻撃は撃退する。ただしやりすぎない。単純だが、実行は難しい。

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